兵庫維新、次の狙いは首長選 「大阪と肩を並べる組織に」 来年の西宮・尼崎で擁立目指す
2021/11/16 10:45
今年の衆院選で当選し、謝意や抱負を述べる議員たち=14日午後、神戸市中央区下山手通4、兵庫県民会館(撮影・吉田敦史)
衆院選で躍進した日本維新の会が、兵庫県でのさらなる党勢拡大に向け、西宮、尼崎の両市長選など来年の首長選、さらにその後の統一地方選に狙いを定めている。衆院選では比例復活を含め擁立した9人全員が当選したものの、小選挙区は1勝のみと、全勝した大阪に比べ組織力の弱さが露呈した。来夏の参院選もにらみ、足場固めを図る。(三島大一郎)
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「本当の戦いはこれからだ。将来の(政党の)構図を決める選挙が続く。大きく勝負を懸ける」
14日、神戸市中央区で開かれた県組織「兵庫維新の会」の全体定例総会。衆院選で当選した9議員をはじめ役員ら約50人が集まった会場で、代表の室井邦彦参院議員が気勢を上げた。
衆院選で公示前の約4倍となる41議席を獲得した日本維新の会。兵庫でも6区の市村浩一郎氏が接戦を制し、他選挙区の8人も比例復活を果たした。
維新の県内地方議員は、神戸・阪神間を中心に約50人。だが首長選では、公認や単独推薦の候補が首長になった例はない。
2013年に大阪府外の首長選で初の公認候補を伊丹、宝塚両市長選に擁立。17年の神戸市長選でも初めて新人を立てたが、いずれも敗れた。今年4月の宝塚市長選では、公認候補が約1600票差で敗退。7月の知事選は自民と相乗りで推薦した斎藤元彦氏が初当選したが、10月の神戸市長選では独自候補を立てられなかった。
今回の衆院選では地方議員らが実動部隊として選挙戦を支えたが、県組織幹部は「他党に比べ組織の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した。衆院選は(副代表の吉村洋文大阪府知事の人気という)追い風に乗った」と振り返る。
一方、大阪では、首長と地方議員約260人が府内の選挙区を駆け回り、小選挙区での候補者全勝をもたらした。衆院選後、吉村氏は「兵庫はまだ不十分。首長、地方議員を増やし、真面目に改革の実績を積み上げていく。ここにもうひとつの壁がある」と語った。
兵庫維新はまず、来年の西宮市長選(来年3月20日告示、同27日投開票)と尼崎市長選を目標に掲げる。大阪に隣接する阪神間では浸透が顕著で、衆院選の比例票では6区(伊丹、宝塚市と川西市南部)、7区(西宮市南部、芦屋市)、8区(尼崎市)で2番手の自民を大きく引き離した。党本部幹部は「首長選で現職に挑むのはまだハードルが高いが、いい勝負ができるはず。積極的に候補者を立てたい」と意気込む。
統一地方選までを見据え、兵庫維新は来年1月から半年間、地方議員の候補者らを育成する「兵庫維新政治塾」を開く予定だ。総会終了後、室井参院議員は「人材を発掘し、県会や神戸市会は議員の倍増を狙う。兵庫維新を大阪本部と肩を並べるくらいの組織にしたい」と話した。