全国の政令指定都市でつくる指定都市市長会は10日、政令市の権限を強化する「特別自治市」制度の法制化を目指す「多様な大都市制度実現プロジェクト」の最終報告を公表した。ただ、松井一郎大阪市長が異論を述べ、市長会としての提言案採択は先送りされた。
特別自治市は政令市が道府県の役割を担う制度で、同プロジェクト(札幌、新潟、大阪、堺の各市長は不参加)は昨年11月に発足。久元喜造神戸市長がリーダーを務め、今年5月に中間報告をまとめていた。
最終報告では、特別自治市に移行した場合の利点として、二重行政解消による市民サービスの向上▽近隣市町村との連携による圏域の活性化▽大都市の国際競争力強化による国全体の発展-などを挙げた。久元市長は「東京一極集中を是正する上で、大都市が力を付ける必要がある」とした。
一方、特別自治市の法制化を国などに求める提言案の採択を巡り、松井大阪市長が久元市長に対し、「神戸市は兵庫県から独立する考えなのか」と質問。久元市長が「現時点では考えていない。法制化された時点で判断する」と答えた。
これに対し、松井大阪市長は「自分たちが要望しないものを市長会として求めていいのか。(各市長が)覚悟と自信を持って要求する形になっていない」と発言。久元市長は「(プロジェクトに参加した)市長が議論を重ね、自信のある制度としてまとめた。どの制度を選択するのかは法制化の時点で問われる。次元の違う話だ」と真っ向から反論した。
だが、松井大阪市長は「市長会の一致として(提言を)提案することには同意できない」と主張。取りまとめに至らなかった。
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