抗生剤の誤投与で腸に穴、腹部にうみ 「腸ろう」の60代患者、歯科治療時に 尼崎総合医療センター
2021/12/23 19:39
尼崎総合医療センターで発生した医療事故について説明する兵庫県病院局企画課の三宅隆之課長(左)ら=23日午後、兵庫県庁
兵庫県は23日、県立尼崎総合医療センター(同県尼崎市)で、腸に通した管から栄養を取る「腸ろう」を行う60代男性患者に対し、誤った注入口から抗生剤を投与したため腸に穴が開き、腹部にうみがたまる医療事故があったと発表した。男性は2カ月入院後、11日退院。後遺症や痛みはないという。
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県病院局によると、男性は9月下旬、虫歯治療のため抜歯を受けた際、20代女性歯科医から、二つある管の注入口のうち、管を膨らますために空気を入れる方から抗生剤を投与された。
10月上旬には下腹部の痛みを訴え緊急入院。直径約3センチに膨らんだ管に圧迫されて腸に開いた穴から腸液が漏れ、腹部内に炎症が起きてうみがたまっていた。
男性は昨年、同院で食道がんの治療を受け腸ろうを始めたが、消化器外科医の方針で尿道に使う管を代用してきた。今回は管の構造を知らない歯科医が専門医に確認せず、現場判断で処置をしてしまったという。
同院は再発防止策として腸ろう専用の管を新たに採用するとともに、男性の入院治療費を負担する。(大島光貴)