コロナ禍で遠い海外…ならば 中高で広がるオンライン国際交流

2021/12/27 14:30

画面越しに、インドの中学生と交流する授業の様子=神戸市中央区野崎通1、神戸市立葺合高校

 新型コロナウイルスの影響で海外渡航がほぼできなくなる中、全国の中学や高校でオンライン国際交流授業が広がっている。手掛ける神戸市のベンチャー企業では、コロナ流行前に2校だった国内提携校が今や60校に急増。海外も東南アジアを中心に60カ国、350校に拡大した。感染対策として情報通信技術(ICT)環境が整ったことが奏功し、学校で気軽に「留学体験」ができる時代がやってきた。(小谷千穂) 関連ニュース 今秋以降にコロナ感染者激減 専門家「学者が一番なぜだろうと思っている」 兵庫のコロナ感染者、実際は2・5倍か 神戸大調査 10万円給付 県内15市町、現金で年内一括支給へ


 「私の好きな日本語は『一期一会』です。意味は…」。11月中旬、神戸市立葺合高校(同市中央区)。国際科などの1年生31人が、画面の向こうにいるインドの中学3年生に英語で話しかけた。この日は1回目の授業。来年2月までに計4回、「学校のルール」や「自国にあるタブー」などをテーマに議論し、理解を深め合う。
 企画したのは、同市中央区の「ウィズ・ザ・ワールド」。今年11月から半年間、神戸市と連携し、葺合高校と八多(はた)中学校(同市北区)の2校をモデル校に、オンライン国際交流授業を課外活動として展開する。
 同社代表の五十嵐駿太さん(29)は2018年4月に起業。「違う国の同世代と交流することで、自国の社会問題を知り、課題解決ができるようになってほしい」と考えた。当初は関西学院高等部(兵庫県西宮市)でインドネシアとの交流授業を始め、2年目の19年は東京の私立校が加わった。コロナが感染拡大した昨年は約60校と一気に増えた。
 コロナ禍で、留学や海外研修は軒並みストップ。一方、オンラインでの交流は需要が高まり、問い合わせが殺到した。兵庫県内では、県立大(神戸市西区)、生野高(朝来市)や洲本実業高(洲本市)、県立国際高(芦屋市)、小林(おばやし)聖心女子学院中高(宝塚市)、東洋大姫路中高(姫路市)が参加する。
 全国の学校に1人1台のパソコンを整備する、国のGIGAスクール構想も追い風になった。オンライン国際交流では、自分のパソコン端末で、ビデオ会話アプリ「Zoom(ズーム)」を開く必要があり、これまで公立学校は「環境が整っていない」と断られることが多かった。ただコロナ禍の昨年は、急ピッチでパソコンなどが普及し、壁がなくなった。
 授業を受けた葺合高1年の生徒(16)は外国人と接するのは初めてだったといい、「コロナで留学できないけど、学校でも経験できた。考えを英語で言えずもどかしかったので、次までに勉強したい」と目を輝かせた。
 実施した学校からは「生徒が見たことがないぐらい英語を話す」「コロナが収束しても海外研修前にやりたい」との声が寄せられているという。五十嵐さんは「行政と連携し、多くの公立校の生徒にも届くようにしたい」と意気込んでいる。

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