料理熱々、人気も熱い! インドア派も注目「メスティン飯」

2022/01/19 16:00

ガスバーナーにメスティンをのせ、少量の水でパスタを作ることができる=三田市末

 アウトドア用のアルミ製飯ごう「メスティン」を、自宅などで活用した「メスティン飯(めし)」が熱い。写真投稿アプリのインスタグラムでは約6万1千件の画像がヒットする。新型コロナウイルス禍で自粛が続く中、ラーメンなどを1人前から作れる手軽さや、多彩な調理に使える機能性の高さから自宅での普段使いが広がり、兵庫県三田市の店舗などで販売が増加。災害時に役立つ用具としても注目される。(喜田美咲) 関連ニュース 【写真】メスティン入りの「UNBYボウル」 アウトドア店×地産地消カフェ 新たな観光スポットに 旧青野ダム記念館が新装 三田 若い女性やソロキャンプも アウトドア第2次ブーム 近畿に続々と専門店

 雪を背景に撮った海鮮スープパスタ、緑の中でテントを張って作る寄せ鍋…。インスタに食欲をかき立てる写真が並ぶ。弁当箱大の大きさで、軽い。熱々の料理を楽しめる道具としてソロキャンプで重宝される。
 インスタの投稿をたどると、「#(ハッシュタグ)おうちメスティン」の言葉も目立つ。自宅のこんろで使い、そのまま食卓へ。レシピを発信する人も多い。
 メスティンは固形燃料やガスバーナーなどのじか火で米を炊けるだけでなく、煮る、焼く、揚げるといった多彩な調理ができるのが特徴。密閉性が高いため熱伝導が早く、水分を逃がさないことから少量の水で温野菜を作ることもできる。
 米3合ほどまで炊けるサイズもある。スウェーデンのトランギア社製をはじめアウトドア用品店で2千円前後で買え、愛好家にとっては早くからの定番だ。
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 2年前、100円均一ショップにも並び始め、インドア派も使うように。ネットでは、愛好家が自宅で試作したメニューを投稿するようになったことをきっかけに広がった。
 インスタで手料理を紹介する金沢市の主婦(40)は「夫と2人の昼食に1・5合のメスティンがぴったり」。「炊き込みご飯などを少量から炊け、お焦げができて香ばしくなる」と魅力を語る。
 「miw」というアカウント名で安くて便利な雑貨を紹介する神奈川県の30代女性は、アウトドアの趣味はなかったが、メスティンが会員制交流サイト(SNS)で話題になっていたため購入。「煮物や蒸し料理をほったらかしでも作れる」といい、料理のレパートリーが増えた。
 昨年6月、大阪から三田市に本社を移したアウトドアメーカー「UNBY(アンバイ)」は、昨年4月の店舗オープンと同時に二つのサイズを販売。1年足らずで2千個近くが売れた。
 小林悠基店長(37)は「キャンプ芸人(キャンプ好きのお笑いタレント)によるブームを、コロナ禍が後押ししたのでは」とみる。
 メスティンだけでなく、キャンプ用の椅子やテーブル、調理器具などを自宅で使う人は増加。機能性が高く丈夫なため「防災時にも使える」と、アンバイでは災害への備えを目的に購入する客も。流れに乗り、各メーカーは屋内で使える新作を次々と発表している。
 小林さんは「メーカーも飽きられないようどんどん新商品を出している。自宅で使い始めた人がアウトドアに目を向けるきっかけになればうれしい」と話す。
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■アウトドア用品、災害時の備えに
 キャンプグッズの防災への活用について、アウトドア用品大手「モンベル」(大阪市)はホームページで紹介している。
 同社は、アウトドアの知識を生かした災害への備えとして「暮らしの中の防災」と題し、地震発生時に身の安全を確保する(1次避難)グッズや、ライフライン復旧までの避難生活(2次避難)で使える商品を一覧で掲載している。
 1次ではヘッドライトやホイッスル、2次ではダウン素材でコンパクトな膝掛けや簡易トイレキットを挙げ、自社製品でそろえた場合の参考価格も示す。
 同社は「毎日の暮らしやアウトドアでの遊びを通して、普段から防災に役立つ経験や知識を積み重ねてほしい」と呼び掛けている。

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