経済
アウトドア第2次ブーム 近畿に続々と専門店 若い女性やソロキャンプも
兵庫、大阪にアウトドアの専門店が続々と開店している。聞けば、子どものころに約30年前のキャンプブームを経験した世代が、子連れで楽しむ第2次ブームだとか。そこへ押し寄せた新型コロナウイルス。感染防止の緊張感を逃れ、ひとときの癒やしを求めようと、人々が足を運ぶ。(三島大一郎、中務庸子)
明石海峡大橋を望む海辺のロードサイド。昨年11月、県内最大級のアウトドア用品店「アルペンアウトドアーズ明石大蔵海岸店」(明石市大蔵海岸通2)が開業した。売り場面積約2200平方メートル。約250ブランド、5万点以上の商品が整然と並ぶ。
「家族連れが多いが、若い女性の姿もよく見掛ける。(1人で楽しむ)ソロキャンプの流行も、需要を後押ししている」とは、伊藤和雄店長。テントの張り方を指導するサービスは、休日には夕方まで順番待ちになるという。
■100万円まとめ買い
アルペンアウトドアーズは、スポーツ用品販売のアルペングループ(名古屋市)が2年前に始めた体験型店舗だ。現在、国内に11店ある。
明石大蔵海岸店では、新型コロナの感染拡大を受けて緊急事態宣言が出ていた今年4、5月は客数が減ったものの、6月には回復。アウトドアを始めるため、キャンプ道具一式を約100万円でまとめ買いした客もいたという。伊藤店長は「在宅ワーク用と兼用で机やいすを買う人も。不況知らずです」と話す。
商都・大阪でも出店が相次ぐ。昨年11月、梅田の商業施設「LINKS UMEDA(リンクスウメダ)」に、スキー・登山用品専門店の石井スポーツ(東京)が進出した。広さ約4300平方メートル。同社最大の店舗となった。
大阪駅直結の商業施設「ルクア大阪」には今年9月、初のアウトドアゾーンができた。再開発ビル「グランフロント大阪」には登山用品販売の好日山荘(神戸市中央区)が出店しており、有力店がひしめき合う。
■30年前に「第1次」
「複数の要件が重なって加熱している」。近年のブームを、小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL(ビーパル)」の沢木拓也編集長が分析する。
一つめは約30年前の「第1次キャンプブーム」だ。当時、家族でアウトドアを楽しんだ子どもが、子育て世代に。自分の子どもと出掛け、非日常の体験や気分を会員制交流サイト(SNS)で発信している。
テントなどの設営も簡単になり、価格も下がった。キャンプ施設も充実し、初心者や女性にとっても垣根が低くなった。アウトドアシーンを盛り込んだテレビCMや、キャンプに夢中になる芸能人の影響も大きいという。
沢木編集長は「新型コロナによる外出自粛のストレス発散という要素も加わっている。生活の一部として定着していくのではないか」と話す。
■清酒メーカー、カー用品店… 異業種から相次ぐ参入
異業種からの参入も目立つ。カー用品店を展開する上場企業、G-7ホールディングス(神戸市須磨区)は3月、アウトドア専門店「FIELD SEVEN(フィールド・セブン)」の1号店を明石市内で開業した。6月には尼崎市内に2号店を設けた。
カー用品店に併設し、キャンピングカーも販売している。若者の車離れが進む一方でオートキャンプ人口は増えており、事業の「親和性は高い」とみた。
利用客の反応について、担当者は「車の整備中にテントや寝袋を選んだり、キャンプ用品を買うついでにカー用品を見たり。相乗効果が生まれている」と手応えを口にする。
関連商品も広がっている。清酒メーカーの日本盛(西宮市)は昨夏から、アウトドアメーカーのモンベル(大阪市西区)と連携し、持ち運びやすいデザインの生原酒ボトル缶(200ミリリットル)を作った。両社のロゴが入る。今春からは、保冷保温用のカバーとステンレス製のおちょこを付けた。
10月にインターネットで販売した500セットは、40分で売り切れた。日本盛の担当者は「予想以上の売れ方。日本酒をアウトドアに欠かせないアイテムにしたい」と次の一手を練る。
(三島大一郎)
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