北京五輪での活躍支えるウエア 幅広い競技に兵庫産

2022/02/16 22:30

北京冬季五輪のウエアを縫製するミズノ生産子会社の氷上工場の従業員(ミズノ提供)

 会期の折り返し点を過ぎた北京冬季オリンピック。銀メダルを獲得した女子団体パシュートをはじめ、出場選手が身に付けるウエアの多くが兵庫県産だ。スポーツ用品大手のミズノ(大阪市)が同県丹波市の工場で、スピードスケートやジャンプ、ショートトラック、クロスカントリー、カーリングなど幅広い競技のウエアを手掛ける。通常の五輪では工場の従業員も現地入りして微調整を行うが、今回は新型コロナウイルス禍で同行できず、兵庫から熱戦を見守る。 関連ニュース 卓球・水谷選手のサングラスは淡路島製だった サイトにアクセス集中 メジャー制した特注アイアン 笹生支えた市川町産「左に行かないように」 プレーオフは兵庫県産クラブ対決 松山選手活躍に目細め…アマ時代支えたゴルフクラブ職人「日本の誇り」

 製造するのは、子会社の「ミズノテクニクス」が丹波市に構える氷上工場。1969年に操業を開始し、冬季競技用や競泳などトップ選手のウエア、水着を手掛ける。北京大会では全15競技中、5競技で日本選手のウエアを製造し、ドイツやクロアチアなど外国チームにも提供する。
 日本選手団主将の高木美帆選手らスピードスケートの選手が着るレーシングスーツは、前回の平昌大会のモデルを土台に、新たなニット素材を採用するなどして、空気抵抗を前回大会よりも約3%削減した。
 胸や腹、大腿部などには伸びにくいウレタンラミネート素材を使用し、前傾姿勢を保ちやすくした。ゴール直後に選手が帽子を脱いだり、胸部のチャックを下げたりするのは、前傾姿勢でぴったりと合うように仕立てているため、立ち上がると窮屈だからだという。
 わずかなタイム差で勝敗が決まるだけに、直前まで細かい修正が欠かせない。選手が試走して袖などにしわが寄ることが分かると、随行の従業員が縫製した部分をほどいて縫い直す。
 冬季種目のウエアを10年以上縫製する山本紘恵さん(39)は、数々の大会にミシンを持ち込み、夜遅くまで補整することもあったという。今回は現地入りできず、1月の長野合宿で最終調整を行った。山本さんは「スーツで気にするポイントは選手によって異なる。選手の要望やこれまでの知見を反映させてミリ単位で調整した。北京へは同行できなかったが、丹波から応援している」と話していた。(塩津あかね)
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