学級閉鎖や休校ほぼ半減、日常徐々に 県内小中学校、基準緩和で オンライン授業は地域で格差
2022/02/22 05:30
学級閉鎖中、画面越しの子どもたちに向けて授業をする教員=川西市久代3、川西南中学校(撮影・吉田敦史)
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、兵庫県内で学級・学年閉鎖、休校をした公立小中学校は17日時点で176校となり、ピーク時(3日の376校)からほぼ半減した。教育活動への影響やオミクロン株の特性を踏まえ、一部市町が閉鎖の基準を緩和したことが背景にある。オミクロン株の猛威は、学校現場でのオンライン授業の地域差や、働く親の負担など多くの課題を浮かび上がらせた。(中島摩子)
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県教育委員会によると、閉鎖数は1月半ばから右肩上がりで増え、今月3日をピークに高い水準が続いた。しかし、県内の新規感染者数が減る兆しを見せると、2月半ばごろから減少=グラフ。県教委とは集計が別の神戸市でも、直近2週間は減少傾向が目立ち、17日時点での学級・学年閉鎖は全体の約15%に当たる39校にとどまった。
同市は以前、「1学級に感染者1人」を学級閉鎖の基準とし、1月27日時点で閉鎖などが157校に膨らんだ。保護者から「仕事に行けなくて困っている」などの声が相次ぎ、2月7日から基準を変更。「複数の感染者を確認」「感染者1人と風邪症状が複数」などに切り替えたという。
1人の感染で学級を休みにしていた西宮市も基準を緩和し、市教委の担当者は「ピーク時の約4分の1に減った」と話す。
文部科学省は今月初め、閉鎖日数の目安をこれまでの5~7日から、5日程度にするよう通知。横浜市ではさらに短い3日程度にするなど、基準の緩和が全国的に目立っている。
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相次ぐ学級閉鎖を受けて、課題として浮かび上がったのが子どもの学びの保障だ。県教委によると、タブレット端末の配布は全市町で完了しているが、活用では濃淡が出たという。
タブレットの導入が県内で早かった川西市の川西南中学校では閉鎖中、1日当たり5~6こまの授業をオンラインで実施。西山晋司教頭は「授業が止まらないだけでなく、生徒の生活リズムが閉鎖中も崩れないメリットがある」と話す。
一方で、一部市町では環境整備が遅れており、宝塚市は「教員用のタブレットの数も、ネット環境もまだ十分ではない」と説明。姫路市は「画面越しの授業を受け続けるのは難しい学年もある。発達段階に応じ、学校ごとにアナログとデジタルを組み合わせる」と模索を続けている。
県教委は「各市町や各学校のオンライン授業の実態を把握し、取り組みの差をなくすようにしたい」とし、学びの環境を調査する方針。オンライン授業の工夫やポイントを紹介する動画も作成予定という。
【30年に1度の大変革 森山潤・兵庫教育大大学院教授(技術・情報教育学)の話】1人1台タブレット端末を配布する政府のGIGAスクール構想とコロナ禍によって、教育現場で30年に1度あるかないかの大変革が起きている。情報通信技術(ICT)の活用は、市町村や先生のやる気次第で一気に進む。コロナ禍だからだけでなく、子どもの未来のニーズに着目した授業改革であり、家庭と連携して推進してほしい。
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