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臨時休園・休校で「休業助成金」働く保護者らの相談急増 利用「ハードル高い」と不満も

2022/02/08 05:30

 新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威をふるう中、学校や保育園などの休校、休園を受け、仕事を休まざるを得ない保護者が増えている。兵庫労働局(神戸市中央区)には、こうした保護者の賃金を補償する「小学校休業等対応助成金」に関する相談も急増する。一方、労働者が助成金を申請する場合は会社側の同意が必要となるため、利用を求める人からは「ハードルが高い」との不満も出ている。(末永陽子、小谷千穂)

 助成金は臨時休校や休園になった小学校や保育園などの保護者が対象。子どもの世話のため特別有給休暇制度などを設けた企業に対し、休業中の賃金分として1日当たり、従業員1人につき最大1万5千円を支給する。今年3月末までで、個人の申請も受け付ける。

 オミクロン株が急拡大した1月から、兵庫労働局の窓口には、事業主や保護者らから助成金への問い合わせと相談が相次いでいる。相談は昨年10月は47件、11月は45件、12月は19件だったが、今年1月は132件に膨らんだ。労働局の担当課はチラシを事業主に配布したり、小学校を通じて直接保護者に案内したりするなど周知に力を入れる。

 ただ、対象となる保護者からは制度の使いづらさを指摘する声も上がる。

 神戸市の中小企業で正社員として働く40代女性は、子どもが通う保育園や小学校で臨時休校や休園が相次ぎ、有給休暇を利用しながら対応していた。ニュースで助成金の存在を知ったのは、有給休暇を取得できる日数が残り1桁台になった時。会社の人事担当に「利用したい」と何度か問い合わせたが、「うちが対象になるか分からない」などと取り合ってくれなかった。

 個人で申し込む場合も、申請書類には事業主の記入欄があり、企業が「労働者を休業させた」とする同意が必要となっていた。

 その後、労働局などに相談し、会社が申請することになったという。女性は「働く親にとっては本当にありがたい」と感謝しつつ、「非正規雇用やシングルマザーなど私以上に困っている人もいるのでは。使える制度でなければ意味がない」と注文を付ける。

 各労働局は、相談に応じて企業へ申請の働きかけもする。兵庫労働局の担当者は「会社から提案がなくても、気軽に相談してほしい」と呼びかける。

 NPO法人「ひょうご働く人の相談室」(神戸市中央区)にも、休暇に関する相談が相次ぐ。山西伸史事務局長は「特に非正規の人は収入が途絶えてしまう。どんな企業であれ、保護者が困ったときに機能する制度であってほしい」と訴えた。

 問い合わせは、兵庫労働局指導課の特別相談窓口(TEL078・367・0850)まで。

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