献体の遺骨を6年半放置「人間として扱ってほしかった」 遺族が兵庫医科大を提訴
2022/02/22 19:37
高橋さんの写真を手に会見に臨む女性=22日午後、神戸市中央区
医学教育や研究に役立てるため故人の遺志で提供された遺体(献体)の遺骨を、兵庫医科大学(兵庫県西宮市)が約6年半、遺族に返還していなかった問題で、遺族の女性(64)=宝塚市=が22日、精神的な苦痛を負ったとして同大に1100万円の賠償を求め、神戸地裁に提訴した。提訴後の会見で女性は「献体はただの教材じゃない。生きた人間として扱ってほしかった」と涙ながらに訴えた。
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訴状によると、同大は2014年、原告女性の父である高橋純一さん=当時(82)=の遺体の献体を受け、15年1~3月に解剖実習を行い、遺族に連絡しないまま4月に火葬。その後も約6年半にわたり遺骨の返還を怠ったとされる。
問題発覚後、大学側から遺骨返還の申し出があったが、ずさんな管理体制に不信感を抱いた原告は「本当に父の遺骨か分からない」と受け取りを拒否。献体は火葬後に遺骨を返還する使用貸借契約の一種で、大学側が履行不能にしたと主張している。
同大は「献体いただいた方々の遺族のみなさまには心より深くおわび申し上げる。不手際を深く反省し、再発防止策に取り組む。訴状が届いていないため、訴訟に関するコメントは控える」としている。