俳人の稲畑汀子さん死去 俳誌「ホトトギス」名誉主宰、高浜虚子の孫 伝統俳句の継承、普及に尽力
2022/02/28 16:05
稲畑汀子さん
近代俳句の巨匠高浜虚子の孫で、創刊125年を誇る俳誌「ホトトギス」の名誉主宰、日本伝統俳句協会名誉会長の俳人稲畑汀子(いなはた・ていこ、本名いなばた・ていこ)さんが27日午後4時48分、心不全のため芦屋市平田町8の4の自宅で死去した。91歳。横浜市出身。葬儀・告別式は近親者で行う。喪主は長男で俳人の廣太郎(こうたろう)さん。後日、お別れの会を開く予定。
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1931年、俳人高浜年尾の次女として横浜市で生まれた。35年に芦屋市へ移住。少女時代から父や祖父のもとで句作を学んだ。49年、小林聖心女子学院英語専攻科を病のため中退し、本格的に俳句の道へ。65年から「ホトトギス」同人。79年、父の死去により主宰を継いだ。
虚子が提唱した花鳥諷詠の思想を深め、人間も自然の一部として詠むしなやかな句風を確立。阪神・淡路大震災後も〈寒月の照らすは地震に崩る街〉など、被災地からの写生句を盛んに発表した。
87年に日本伝統俳句協会を設立し、会長に就任。2000年には芦屋市の自宅隣に虚子記念文学館を開設し、伝統俳句の普及に努めた。芦屋市教育委員長や地球ボランティア協会会長も歴任し、芦屋市民文化賞や兵庫県文化賞を受賞。淡路島くにうみ協会が主催する「永田青嵐顕彰全国俳句大会」の代表選者も務めた。
句集「汀子句集」「障子明り」「さゆらぎ」などのほか、「花鳥存問」「女の心だより」など優れたエッセーも多く残した。