「わしぇね(忘れない)3・11」 兵庫の支援団体、宮城・閖上地区の被災者と犠牲者追悼
2022/03/11 18:21
兵庫から運んだ竹灯籠に火をともす参加者=11日午後2時36分、宮城県名取市閖上東
東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県名取市閖上地区で11日、兵庫県内の支援団体が竹灯籠を並べ、犠牲者を追悼した。兵庫と交流を続ける現地の被災者も参加し、地震が起きた午後2時46分に黙とうをささげた。
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市民団体「神戸・心絆」(三木市)と「ひょうごボランタリープラザ」(神戸市)が、阪神・淡路大震災の犠牲者を悼む神戸・東遊園地のガス灯から分けた火と竹灯籠約650本を兵庫から運んで準備した。
晴天ながら、海風が冷たい閖上地区の公園に、竹灯籠で「わしぇね 3・11」の文字を形作った。「忘れない」を意味する現地の方言だ。点灯作業には通りがかった地元の被災者も合わせ、100人以上が加わった。
参列した名取市閖上中央の会社員荒川裕一さん(59)は津波で母好子さん=当時(76)=を亡くした。7年半の仮設住宅暮らしを経て、2018年末、もともと住んでいた場所近くに自宅を再建したという。
「本当に、兵庫と強いつながりを感じる。毎年『3・11』は特別な思いで目が覚めるけど、こうして竹灯籠を前にすると、ほっとして、落ち着く」。そう語り、静かに手を合わせた。
同プラザなどは東日本大震災の翌年から、閖上地区の住民と交流。仮設住宅でお盆や3月11日に追悼行事を営んできた。阪神・淡路大震災が起きた1月17日には神戸に招いている。「神戸・心絆」の杉山正秀代表(61)は「継続が大事。体が続く限り続けていきたい」と話していた。(上田勇紀)