コロナ禍で事業低迷、親会社からの救いの手を悪用 グローリー子会社21億円横領

2022/03/14 22:30

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 たった1人で21億円超の巨額資金を横領したグローリー(兵庫県姫路市)子会社の元社員。その手口は、新型コロナウイルス禍によるコインロッカー事業への打撃を受け、親会社が差し伸べた救いの手を悪用したものだった。横領総額の多くが、コロナ禍の特例措置を使ってグループ内資金を引き出したものだった。 関連ニュース 「学園祭の売上金横領」と誤った情報流布され、大学生自殺 10億円横領「6年で1300回着服し悪質」 懲役10年判決 「まずいですよね」でも上司は「やめろ」と言えなかった 保身、焦り、功名心…賄賂に堕ちたエリート社員の“代償”

 調査報告書によると、元社員が横領を始めたのは2009年。現金を抜き取る簡単な手口からだった。
 横領額が一気に増えたのは20年以降。グローリーは同年5月、グループ内の資金決済を親会社に一元化する「キャッシュ・マネジメント・システム」を導入。子会社のグローリーサービス(大阪市)は、親会社の決裁が必要な銀行借り入れをしなくても、4・5億円を限度に、いつでも親会社からの資金融通が可能になった。
 同年7月には、コロナ禍での業績不振を見かねた親会社が4・5億円の枠とは別に、必要額を貸し付ける特例措置を導入。コロナが理由ならほぼ無制限に入金されたとみられ、特例での貸付総額は同月末の1・5億円から、発覚した今年2月には12億円に達し、大半が元社員の口座に送金されていた。
 グローリーの担当者は「コロナ対策が裏目に出てしまった」と唇をかんだ。(高見雄樹)

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