都会で収穫の喜び ビル屋上の貸農園が人気「つながり生まれる場に」開園1周年 神戸・東灘

2022/03/21 11:54

商業施設の屋上にある「シェラトンファーム」と、運営する(左から)江副真文さん、西橋悦さん=神戸市東灘区向洋町中

 神戸市東灘区の人工島、六甲アイランドの商業施設屋上にある貸農園「シェラトンファーム」が開園1年を迎えた。高層ビルに囲まれた一画で土や緑に触れられる都市農園として整備され、地元の親子連れらが季節の野菜や果物を育て、思い思いの農業を満喫している。取り組みを発信しようと、近くの「神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ」などでつくる運営事務局は27日、農園の開放イベントを開く。(井上太郎) 関連ニュース 【写真】ホテルの屋上は貸農園 神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ パソナ、淡路島に大型施設開業 農や食体験、自然の中での暮らし満喫 【写真】Jリーグで初、スタジアムで野菜作り ヴィッセル神戸の都市型貸農園


 ファームは同ホテル北側にある3階建ての商業施設「リバーモールイースト」の2階屋上に位置する。もともとあった花壇を木製の枠で3メートル四方に区切った計16区画の小さな畑だ。
 リバーモールイーストは建築家の安藤忠雄さんが手掛けた低層の建物で、屋上は六甲ライナーからも見える。花壇は長年手つかずで雑草が生い茂っていたが、シェラトンホテルが2020年夏、活用に乗りだした。ホテル内の地場産品販売店「シェラトンマルシェ」に出荷する神戸市西区の有機農家グループ「ビオ クリエイターズ」が協力。草刈り、区画作り、土入れの3回に分けて参加者を募るワークショップ形式で整備を進めた。
 食の情報発信や企画を手掛ける会社「KUUMA」(神戸市中央区)のディレクターで六アイ出身の江副真文さん(30)は当初、ワークショップ参加者の一人だったが、「地域のつながりと神戸の食を盛り上げる価値のある場所」と感じ、個人事業主として運営に参画。3者で21年3月、開園にこぎ着けた。神戸市による都市農園整備プロジェクトのモデル第1号にも認定され、助成を受ける。
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 これまでに風の強さ、カラスやスズメの多さなど都市部の課題に対応しつつ、キクナやキュウリ、ハクサイ、スイカなどが栽培、収穫された。収穫できる作物が少ない冬場は花が彩る。
 料金は月1万円。農家が週末に助言し、月1回、講習もあるため、初心者も利用しやすい。半年更新制だが、継続希望が多く、新規希望者は空き待ち状態だ。
 親子で土を触ったり、ご近所さん同士で区画をシェアしたり、使い方はさまざま。「研究の一環で」と1人で借りる大学生や、朝に立ち寄って水をやってから出勤、登校する人もいる。
 「何げない会話と緩やかなつながりが生まれる場としても必要とされている実感がある」とシェラトンホテルの西橋悦総支配人室長。今後、神戸市中央区の東遊園地で続く「ファーマーズマーケット」のような直売イベントを六アイでも開き、農家の支援と地域の活性化につなげたいという。
 27日の開園1周年記念イベントは午前11時~午後4時ごろ。普段、利用者以外の人は立ち入ることができないシェラトンファームを見学用に開放する。リバーモールイースト2階では有機農家が農産物を、同ホテルが軽食などを販売する。雨天中止。同ホテルTEL078・857・7039

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