総合人材サービス・パソナグループが10月、兵庫県淡路市野島常盤に農業や食の体験型施設「AwajiNatureLab&Resort(淡路ネイチャーラボ&リゾート)」を開設する。約3万8千平方メートルの広大な敷地で、無農薬の野菜栽培や食循環を学ぶ堆肥作りができる。さらに来年秋ごろにかけて順次、レストランや滞在施設を造り、自然の中での暮らしを体感できるようにするという。(上田勇紀)
農業分野で人材育成を進めるグループ子会社「パソナ農援隊」(東京)が、地権者から借りた土地を使って整備。淡路市北部に位置し、近くには県立淡路景観園芸学校がある。
オープンは10月2日で、既にある敷地内の農園も活用し、ヨモギやシソの効能を学ぶドリンク作りなど、さまざまなワークショップを始める。11月には、農園で収穫した野菜を調理してもらえる「農家レストラン」(約100席)を開く。
来年秋以降には、太陽光などの再生可能エネルギーを活用した滞在施設を11棟開設。農園での体験やレストランの食事を楽しみながら、自然の中でゆっくりと過ごしてもらう。今後、外部企業を招き、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)の発信に向けた団体も立ち上げる予定という。
「畑の土やエネルギーを通して循環型社会の大切さを伝え、淡路島への移住のきっかけもつくりたい」と、パソナ農援隊の神(じん)智実常務執行役員は力を込める。
パソナグループは東京から淡路島への本社機能移転を打ち出し、2024年5月末までに管理部門社員約1200人を移す計画を進めている。島内では08年、若い世代らの独立就農を支援する農場「パソナチャレンジファーム」を開設。生産者と料理人をマッチングする取り組みなども続けている。新施設でも、農業関連の発信を強めていく。