震災がれき処理で石綿公務災害、高裁で逆転敗訴 明石市職員の妻、最高裁に上告

2022/03/31 19:04

大阪高裁の判決後、会見に臨む弁護団ら=3月17日、大阪市内

 阪神・淡路大震災でアスベスト(石綿)を含むがれき処理作業に従事し、中皮腫で亡くなった兵庫県明石市の男性職員の妻が、公務災害を認めなかった地方公務員災害補償基金(東京)の処分取り消しを求めた訴訟で、男性の妻は31日、一審神戸地裁判決を取り消し、妻の請求を棄却した大阪高裁判決を不服として最高裁に上告した。 関連ニュース 「船上では石綿が雪のように」肺がんの男性3人が勤務先提訴 大震災被災地活動1カ月で石綿禍認定 目安から極めて短く 1・17震災時、大気中の石綿「高濃度」 95年2月に神戸調査の専門家

 明石市職員だった島谷和則さんは同震災後、公務で倒壊家屋のがれき回収などを担当。2012年に悪性腹膜中皮腫の診断を受け、13年に49歳で亡くなった。
 がれきに石綿含有の建材が含まれたことから公務災害認定を求めていたが、同基金は「公務外の災害」と判断し、妻弘美さん(58)は神戸地裁に提訴した。昨年3月に同地裁は基金の処分取り消しを命じたが、基金側が控訴し、今年3月17日に大阪高裁であった控訴審判決では、島谷さんの中皮腫発症は「公務に起因すると認められない」と一審神戸地裁判決を取り消し、妻の処分取り消し請求自体も棄却されていた。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ