就任25年「諦めかけた」日本一つかんだ ラグビー全国高校選抜で初V 報徳の西條監督
2022/04/01 05:30
兵庫勢初の全国制覇を果たした今大会を振り返る報徳の西條裕朗監督=31日午前、埼玉県熊谷市上川上、さくらオーバルフォート(撮影・秋山亮太)
四半世紀にわたって挑み、諦めかけた頂点に上り詰めた。ラグビーの全国高校選抜大会で初優勝した報徳(兵庫)の西條裕朗監督(59)。就任25年目でつかんだ兵庫ラグビー界悲願の日本一に「子どもたちが頑張ったということ。率直にうれしい」と目を細めた。
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兵庫県の北淡町(現淡路市)に生まれ、神戸で育った。スポーツ少年ではなかったが、四つ上の兄が報徳ラグビー部に入り、後を追うように報徳で楕円(だえん)球と出合った。
ポジションはスクラムの最前線、プロップ。全国常連校に引き上げた前田豊彦監督から熱血指導を受け、「人と人がぶつかって、きしむ中での勝負」に魅了された。大阪府東大阪市の花園ラグビー場で行われる冬の全国高校大会には3年連続出場。練習へのひたむきな姿勢などから人望を集め、報徳でも進学先の法政大でも主将を任された。
大学卒業後は高校の社会科教員となり、伊丹北高在勤時代に前田さんが急死。OBらから請われ、1997年に母校に赴任した。
1年目の花園でいきなり過去最高の4強を記録。「次は全国制覇」と周囲の期待も高まったが、花園には今冬まで19回出場するも準々決勝の壁を破れずにいる。2000年からの全国選抜大会も8強止まり。「諦めに近いもの」を感じたこともあったと明かす。
選手たちには「自己を殺し一致団結」とうたう部訓そのまま、献身性の意義を説きながら自主性を重んじる指導を続けてきた。「報徳のラグビーが面白そう」と東京からの入部者も出始め、今冬3年生引退前の部員数は過去最多の99人に。「ボリュームが全てではないが、選んでもらえるのはうれしいこと」とうなずく。選手には「応援されるクラブになれ」と、勉学にも手を抜かないよう諭す。
迎えた今大会。準々決勝と決勝が新型コロナウイルス感染拡大の影響などで中止され、不戦勝となった。「試合という過程が大事なのに」と心残りはありながらも、「子どもたちには一生もの。OBたちも前田監督も喜んでくれると思う」。4月に迎える創部70年の節目を、最上の輝きで彩った。
次は花園で-。チームは休むことなく、1日から青森県での合宿に向かう。(初鹿野俊)