あの日から3日で1万日 記憶伝えるもう一つの震災遺構「神戸の壁」 神戸・新長田
2022/06/02 10:30
「神戸の壁」のレプリカや、震災の記憶を伝える写真が並ぶ伝承空間=神戸市長田区腕塚町5
阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた神戸市長田区。JR新長田駅近くの地下空間に、古びた壁のオブジェが展示されている。震災遺構「神戸の壁」の縮小レプリカだ。
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壁は昭和初期、同区に建てられた公設市場の防火壁だった。神戸空襲と震災の2度の災禍に耐えて残り、現在は移設されて北淡震災記念公園(淡路市小倉)に立つ。
壁の保存継承に取り組んできた市民団体「リメンバー神戸プロジェクト」代表の現代美術家三原泰治さん(神戸市垂水区)は神戸からの移設に際し、壁の基礎部分を背もたれに活用したベンチや、実物の30分の1の大きさの壁を制作。それらは現在、新長田の伝承空間「ウォール・ギャラリー」で災害の記憶を伝えている。
2日はあの日から数えて9999日目。3日の1万日目を前に三原さんは「二度と繰り返さないために、千年先へ残さなくては」と語った。(吉田敦史)
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