堀江さんの活動を20年超サポート 世界最高齢の偉業支えた兵庫のメーカー
2022/06/04 19:20
新西宮ヨットハーバーに帰還中の堀江謙一さん(手前)と出迎えた古野電気の社員ら=4日午後3時すぎ、大阪湾内(古野電気提供)
ヨットで単独無寄港の太平洋横断に世界最高齢で成功した海洋冒険家堀江謙一さん(83)=兵庫県芦屋市=は、ゴールに設定していた紀伊水道から迎えの船にロープでえい航され4日夕、拠点にしている新西宮ヨットハーバー(同県西宮市)に到着した。20年以上にわたり堀江さんの活動をサポートする西宮市の船舶用電子機器メーカー古野電気は、今回も衛星利用測位システム(GPS)機器や衛星電話の提供などで偉業を支えた。
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【写真】衛星通信を活用し、経度や緯度などの情報を陸に伝える「トラッキング装置」
魚群探知機や船舶レーダー、GPSなど海に関わる技術を持つ同社。堀江さんとは20年以上の交流があり、2004~05年の東回り単独無寄港世界一周、波の力で進む波浪推進船を使った08年のハワイ-紀伊水道間の単独航海などで協力した。
今回は、19年ごろに堀江さんから打診を受け、意見交換をしながら装備機材を決めていった。本人の意向で、ディスプレーやGPSなど、電子機器は必要最小限に。風向や風速を測る機器は、堀江さんが「それはいらない。肌で分かる」と判断して搭載しなかったという。
併せて、GPSで取得した船の現在地などを衛星通信を介して発信できる「トラッキング装置」も提供。堀江さんのヨットの緯度や経度、進路、船速などの情報をウェブ上の地図に示す特設サイトを開設した。17年から外洋レースに挑む船に提供してきたサービスを活用したという。
トラッキング装置の搭載に、堀江さんは「どこにいるかをみんなに分かってもらえるのはいいね」と話していたという。
4日午後は大阪湾に船を出し、船上に横断幕を掲げて堀江さんを出迎えた。担当者は「無事に帰ってきてくださってよかった。応援していたつもりが、こちらが笑顔にしてもらった。言葉に表せない思いだ」と偉業達成を喜んだ。(大盛周平)