安倍元首相死去 神戸製鋼所時代の同僚「やり残したことあっただろうに」

2022/07/08 20:45

かつて勤務した神戸製鋼所加古川製鉄所を訪ね、あいさつする安倍晋三首相(当時)=2007年3月10日、加古川市金沢町

 参院選の応援演説中の8日、銃撃され、死亡した安倍晋三元首相。政治の道を歩む前の1979年から3年半、神戸製鋼所(神戸市中央区)に勤務した。80年5月からの9カ月、加古川製鉄所(加古川市)の工程部工程課に配属。当時の同僚は、あまりにも突然の訃報に「やり残したことがあっただろうに。犯人に怒りを覚える」と複雑な胸の内を語った。 関連ニュース 【写真】7日、応援演説で神戸入りし、群衆に囲まれる安倍晋三元首相 安倍元首相死去 兵庫の国会議員からも憤り、怒りの声 安倍元首相、神戸の演説詳報 「私が総理の時代はけっこう波が高かった」

 安倍氏は当時、同課厚板係として営業担当が受けた注文の工程管理を担った。「おとなしく、こつこつまじめに働いていた」と話すのは同課の同僚だった安田英俊さん(72)=千葉県船橋市。「将来、政治の世界に入ることをおくびにも出さない仕事ぶりだった」と懐かしむ。
 2007年3月、前年に首相となった安倍氏が同製鉄所を訪れた際は、広報担当者として立ち会った。「ご安全に」。安倍氏は開口一番、製鉄所員らが交わす言葉であいさつし、従業員を沸かせたのを覚えている。「人の心をつかむのが上手だった。政治家としての心配りを感じた」と振り返る。
 「社会人の第一歩を神戸製鋼で踏み出されたことを誇りに思う。まだ若く、やり残したことがあっただろうに、残念でならない」と奥歯をかむ。「暴力で物事を解決しようとした犯人に怒りを覚える」とやりどころのない思いを口にした。(大島光貴)

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