明石市の犯罪被害者支援、損害賠償の立て替え引き上げへ 上限300万円から1千万円、条例改正案

2022/07/26 20:00

犯罪被害者への支援策拡充について話し合われた検討会=明石市役所

 兵庫県明石市は、犯罪被害者遺族への損害賠償金が支払われない場合に立て替える制度について、上限を現行の300万円から1千万円へ引き上げる条例改正案を明らかにした。2022年度中にも市議会へ提出する。 関連ニュース 11歳の息子の命奪われた父、元少年Aに「答え」求め続け 「思い渦巻く25年だった」 神戸連続児童殺傷事件 通り魔殺人から26年 被害者の母、悲しみ、怒り今も「救済得られる仕組みを」 18、19歳刑罰か更生か 少年法改正で「特定少年」 「成人未満」事件、見直す機会に


 同市によると、損害賠償金の支払いを加害者に命じる判決が出ても、実際に支払われる事例は少ない。市は立て替えた賠償金を当事者に代わって加害者に賠償請求する。金額の上限は従来、両親と子ども2人の世帯への生活保護年間支給額に合わせて300万円としてきたが、条例改正案では遺族が前を向くため、少なくとも3年間は安心して暮らせるように増額する。
 見舞金に当たる遺族への「支援金」についても、隣接する播磨町の金額に合わせ、現行の40万円から60万円に引き上げる。
 また、加害者が心神喪失状態などで刑事責任を問われなかった場合、被害者遺族へ支給する「特例給付金」について、現行の20万円から60万円にする。
 明石市役所で開かれた被害者支援策の検討会で、神戸連続児童殺傷事件で次男を亡くした土師守さんは「支援策が改善される方向にあるのは、被害者にとって非常に良いことだ」と述べた。(長尾亮太)

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