<フェス主義!>シーズン開幕♪ 迫力、一体感、笑顔、そして自由! 戻ってきた祝祭
2022/07/27 19:00
2019年9月、伊丹市の昆陽池公園で開かれた「ITAMI GREEN JAM」。今年は大阪・池田に会場を移す(主催者提供)
日本の夏の風物詩、音楽フェスティバル(フェス)が復調の兆しを見せています。「フジロック」(新潟県)と「サマーソニック」(千葉県、大阪府)、「ロックインジャパン」(千葉県)、「ライジングサン」(北海道)という国内四大フェスが、3年ぶりに全てそろって開催へ。兵庫県内など関西各地でも開催が予定されています。
関連ニュース
「密がダメなら屋外だ!」神戸のライブハウスが音楽OKのキャンプ場づくりに乗り出す 大自然の中にフェスもできる練習スタジオ!?
開催3日前にコロナ禍で中止が決まった野外音楽フェス そのとき裏側では何が? 赤字危機乗り越え3年ぶりの開催を目指す主催者に聞いた
【写真】津田昌太朗さん
「フェスっていろんな所からたくさん人が集まってくるやろ。大丈夫なん?」と感じる人もいるかもしれません。確かに2020、21年は新型コロナウイルス禍で中止や縮小が相次ぎました。けれども今年は各地のフェスが続々と開催を発表しています。
* *
フェスとは一般的に、多数のミュージシャンが出演し、音楽はもちろん、グルメやアート、アウトドアなど多彩な文化を体験できる野外音楽イベント-といった感じです。
コンサートと違って、ステージは一つとは限りません。観客は自由に会場内を移動し、目当てのミュージシャンの音楽に耳を傾け、地元の食を楽しんだりグッズを手に入れたり。ジャンルもロックに限らず、ジャズ、ヒップホップ、アイドルなど多岐にわたります。
国内では、1997年に初開催されたフジロックを先駆けとして、地域の特色を生かした多彩なフェスが各地に誕生。2019年には大小400件以上が開催され、市場も拡大を続けてきました。ぴあ総研(東京都)の調べでは、13年の203億円が19年は330億円に。同年の動員数は計295万人に上ります。
客層も若者、中高年、家族連れなど、フェスによってさまざま。そうしたことから、近年は地域活性化や自然災害からの復興支援などの手段としても注目されています。
* *
日本最大級のフェス情報サイト「Festival Life(フェスティバルライフ)」の編集長、津田昌太朗さん(36)=兵庫県姫路市出身=は「最近のフェスはどこも参加者のマナーは良いし、ルールもきちんと守られている」と強調します。
現地でしか味わえない生演奏の迫力、一体感、笑顔、そして自由。そうしたフェス文化を守ろうと、関係者はコロナ禍の2年半、試行錯誤し、開催のノウハウを積み上げてきました。入場時の検温、マスク着用、飲酒禁止、アプリでの個人情報登録、出演者らへのPCR検査…。その結果、感染の抑え込みに成功するフェスも増えています。
「フェスはアーティストを生で見られることはもちろん、新しい音楽や文化と出合えるチャンス。文化は継続しないと衰退する。だから、今年はすごく重要な年です」。国内外約500カ所のフェスに足を運んできた津田さんは、そう力を込めます。関西のフェスについては「地域と深く結びつき、住民に愛されるフェスも多い。兵庫県には、小規模ながらも独自に発展し、将来が楽しみなフェスがたくさんあります」とみており、注目しています。
さあ、フェスの本格的なシーズンが始まります。華やかな舞台に懸ける主催者や出演者たちの思い、イベントの裏側、各地で生まれた交流など、幅広い話題を津田さんの協力も得てお届けします。コロナ禍という荒波の中、転換点にあるフェスを、関西に軸足を置いて深掘りし、新しい未来を探ります。
次回はサマーソニック大阪とラッシュボール(大阪府)のプロデューサーを訪ね、スポットライトの裏側に迫ります。公式サイト「神戸新聞ネクスト」や文化部の公式ツイッター(@bunkakobenp)でも情報を発信しますので、ぜひご覧ください。(藤森恵一郎)
▽津田昌太朗(つだ・しょうたろう) 日本最大級のフェス情報サイト「Festival Life(フェスティバルライフ)」の編集長。1986年兵庫県姫路市生まれ。姫路西高校、慶応義塾大学卒。英国の「グラストンベリー・フェスティバル」でフェス文化の奥深さに触れ、勤めていた広告代理店を退社。これまでに国内外約500カ所のフェスに足を運び、テレビ、ラジオなどさまざまな媒体でフェスの魅力を発信している。著書に海外フェス情報をまとめた「The World Festival Guide(ザ・ワールド・フェスティバル・ガイド)」。
【Festival Life(フェスティバルライフ)】 津田昌太朗さんが編集長を務める、日本最大級の音楽フェス情報サイト。全国で開催される400以上のフェスリストのほか、国内外のフェスに関するニュース、インタビュー、コラム、来場者スナップ、リポートなどを配信する。