「優勝パレード、神戸でもしてほしいなぁ~」やらないの? オリックスといえば…
2022/10/09 18:00
阪神・淡路大震災があった年にリーグ優勝を果たし、神戸でのパレードでファンに手を振る(左端から)イチロー選手、星野伸之投手、仰木彬監督=1995年11月5日、神戸市中央区、東遊園地前
プロ野球オリックス・バファローズのパ・リーグ連覇を祝い、本拠地の大阪・御堂筋で実施される予定の優勝パレードがSNSで話題を集めている。パレードそのものには賛同の声が多いが、目立つのが、前身のブルーウェーブ時代の本拠地・神戸での開催を望む声だ。阪神・淡路大震災後の「がんばろうKOBE」などの印象がいまだ強いようだが、実現の可能性は…?
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「オリックスさんに(パレードを)実現できる機会をつくってもらった。非常に興奮しています」。オリックスのリーグ優勝決定から一夜明けた10月3日、大阪市の松井一郎市長が声を弾ませた。
オリックスが昨年、25年ぶりのリーグ優勝を果たした際も計画されたが、新型コロナウイルス禍で断念した経緯がある。それだけに、松井市長は「11月3日、もう日は取っていますので」と前のめり気味。クライマックスシリーズ(CS)の結果によっては、日本シリーズにすら進出できない可能性もあるのだが、早々に開催の意向を示した。
パレードの会場は、大阪の都心部を南北に走る御堂筋が予定されている。阪神が2000年代にリーグ優勝した際も行われたが、SNSでは「御堂筋パレード、というと南海ホークスが思い出される」とのコメントも。
大阪・難波を本拠地とした南海のパレードが実施されたのは、悲願の日本一を果たした1959年のこと。日本シリーズでは、エース杉浦忠投手が4連投4連勝という神懸かり的な活躍を見せて宿敵の巨人を破り、地元のファンが盛大に祝福した。当時の監督、鶴岡一人氏の自叙伝のタイトル「御堂筋の凱歌(がいか)」が表すように、大阪のオールドファンにとって御堂筋は、南海の印象が強い場所なのだろう。
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「優勝パレード神戸でもしてほしいなぁ~」「オリックス優勝パレード(国道)2号線でやってほしい。大阪から神戸まで大パレードとかどうよ」。松井市長の御堂筋パレードの発表を受け、SNSで目立ったのは、神戸開催を求めるファンの声だった。
オリックスは2004年に近鉄と合併するまで、本拠地を神戸に置いていた。95年の阪神・淡路大震災後、「がんばろうKOBE」を合言葉にリーグ連覇を果たした経緯に触れるコメントもあり、「オリックスといえば神戸」というイメージを抱く人が今も少なくないことがうかがえる。
それを暗に裏付けるような写真がネットで注目を集めたのは、オリックス優勝が決まった10月2日夜。阪神が優勝するたびにファンが集まり、飛び込むスポットとして有名な大阪・道頓堀の閑散とした様子の写真とともに、「オリックス優勝の道頓堀やばいな…」という一文がツイッターに上がると、3日間で3・5万の「いいね」が付いた。
関西で圧倒的な人気を誇る阪神との差、と断じてしまえばそれまでだが、オリックスが「大阪に本拠地を置く唯一のプロ野球チーム」として浸透していない傍証といえるかもしれない。
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SNSでの「神戸パレード」熱望の声に対し、神戸市の反応はどうなのか。今シーズンも計8試合ながら神戸で公式戦が組まれ、昨年の日本シリーズ第6戦をかつての本拠地、ほっともっとフィールド神戸で戦ったのも記憶に新しい。
神戸市の担当者は「地元の球団という意識はあり、『応援していかなければ』とは考えている」。だがパレードの開催については、市民からの直接の要望が上がっていないようで「現時点では特に計画していない」と述べるにとどまる。
昨年の日本シリーズではセ・リーグ王者ヤクルトに敗れたオリックス。CSを勝ち抜き、96年以来となる日本一に輝けば、神戸パレードの実現性も高まるかもしれない。(小川 晶)