40~64歳のひきこもり61万3千人、深刻な「8050問題」社会で考えよう 支援団体が11月に姫路で全国大会

2022/10/21 05:30

「孤立予防策を探る機会にしたい」と話す川田美和・兵庫県立大准教授(右)と大会実行委員長の松井勝也さん=明石市北王子町、兵庫県立大明石看護キャンパス

 社会との接触を断って孤立するひきこもりの人のケアを続けている「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京)が11月5、6日、兵庫県姫路市神屋町のアクリエひめじで全国大会を開く。長期化、高年齢化が深刻になる中、国や地域の関係者が集い、今後の支援策を話し合う。(津谷治英) 関連ニュース 孤独・孤立に悩む若い世代増加 SNSが「逆に孤立感深める」ケースも 引きこもりの息子が20数年ぶりに家の外へ 神戸で日本精神衛生学会 孤立する人々救う手段を議論 29、30日


 内閣府の調査では、全国のひきこもりの人は15~39歳で推計約54万1千人(2015年調査)、40~64歳は同約61万3千人(18年調査)で計115万人以上とみられる。親が80代、当事者が50代の「8050問題」は長期化、高年齢化を象徴。社会の支援を受けられずに親や当事者が孤独死する例が報告されている。 KHJは全国38都道府県に55支部を持つ。国の調査に協力しながら自治体に支援策も提言。毎年の全国大会で各地の団体と意見交換を重ねてきた。
 16回目の今回のテーマは「ひきこもりから、私たちの未来を考える」。総合司会を務める川田美和・兵庫県立大看護学部准教授(精神看護学)は、就職氷河期で就労に失敗してひきこもりになった例を挙げ、「一度失敗した人の社会復帰が難しい環境が増加の一因。改善のためには国、地域が一体となって議論する必要がある」と指摘する。
 そこで今回は厚生労働省社会・援護局の担当者が国の方針を紹介。明石市の「陽(ひ)だまりの会」、姫路市の「コムサロン21」といった支援団体、自治体担当者らが地元の支援体制や実績を報告する。加藤隆弘・九州大大学院医学研究院准教授は、心理・脳科学の観点からひきこもりを理解してもらおうと基調講演する。
 実行委員長で陽だまりの会代表の松井勝也さんは、孤独が深刻化して日本や英国が担当大臣を置いたことに触れ、「ひきこもりも孤立解消が課題だが、社会支援のグレーゾーンになっている。対策を社会全体で考えるきっかけにしたい」。
 参加費2千円、ひきこもり経験者は無料。当日のライブ配信、後日の動画配信も。KHJ事務局TEL03・5944・5250

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