秋の叙勲3999人受章 兵庫県在住は133人
2022/11/03 05:30
家次恒さん
受章者は旭日章920人、瑞宝章3079人の計3999人(兵庫県在住は133人)となる。女性は旭日大綬章の宮崎裕子元最高裁判事(71)ら436人で全体の10・9%。民間人は1910人で47・8%を占めた。
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旭日大綬章は他に小川敏夫前参院副議長(74)、小池裕元最高裁判事(71)、日本遺族会会長の水落敏栄元文部科学副大臣(79)。瑞宝大綬章は平野俊夫量子科学技術研究開発機構理事長(75)、山本信一郎前宮内庁長官(72)ら3人。
分野別では学術研究から、子どもへの指導内容や教員の質向上への改革を進めた梶田叡一元兵庫教育大学長(81)らが瑞宝重光章に選ばれた。
産業振興では、医療用検査機器・試薬メーカー、シスメックス(神戸市中央区)の家次恒会長兼社長(73)が旭日重光章、井村屋グループ(津市)の浅田剛夫会長(80)と福島信用金庫の樋口郁雄理事長(71)らが旭日双光章を受ける。
医療・福祉からは、長瀬清前北海道医師会会長(84)らが旭日小綬章を受章。「人目につきにくい分野」では、33年余りにわたり保護司として更生保護活動に貢献した佐賀県唐津市の久賀永雄さん(74)らが瑞宝双光章に決まった。
大綬章は天皇陛下、重光章は岸田文雄首相が9日に皇居で授与する。
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■【旭日重光章】シスメックス会長兼社長・家次恒さん(73)血球計数検査世界1位の実績
医療用検査機器・試薬メーカー、シスメックス(神戸市中央区)の社長を26年務める。この間、売上高が12倍、利益は22倍に拡大。血球計数検査(ヘマトロジー)分野で世界1位に育てた。190以上の国や地域に製品を届ける。
明るい性格と前向きな思考、組織を引っ張るパワーが持ち味。激務の傍ら2001年から神戸商工会議所副会頭を15年、さらに会頭を6年務め、7日に退く。
受章に「健康・医療分野で多くの方々に支えられ、企業を成長させてもらえた。社員も頑張った」と相好を崩した。
グローバルに展開しながらも、研究施設や工場など重要拠点は全て本拠地・兵庫県に置く。自信を失い気味の日本経済には「丁寧なものづくりや律義さなど、強みは世界で認められている」と奮起を促す日々だ。
活力の源は「次にどう動くか考え、世の中をウオッチする」こと。強い好奇心で前へ進む。(高見雄樹)
■【瑞宝重光章】元兵庫教育大学長・梶田叡一さん(81)実体験基に教育改革進める
「一生懸命かどうかより、本当に分かったかどうかが大事」。兵庫教育大学長などを歴任する中、一貫してデータや分析に基づく「エビデンスベース」を主張し、教育の在り方と向き合ってきた。
主張の根幹にあるのは自身の体験だ。のみ込みが遅く、学校では授業を先回りして自学自習を徹底した。「自分を甘やかすと何も分からなくなる。教育論議をきれい事で進めてはだめ」と強調する。
集大成は2008年、中教審教育課程部会長時代の学習指導要領改定で、ゆとり教育から学力重視に軌道修正。兵教大では、学生の理解度を測る重要性を説き、教員就職率を日本一に引き上げるなど成果を上げた。
受章の報には「思いがけない栄誉で、うれしく思う。家族、親族に支えられ、研究仲間にも恵まれて今がある」。
次代の子どもたちに望むのは人間的な成長だ。「自らを律して、絶えず学んでほしい」と願う。(大橋凜太郎)