ヤングケアラーらに無料の配食サービス、兵庫県がモデル事業開始 家事負担軽減、ニーズ把握も

2022/11/10 06:30

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県は、病気や障害のある家族を若くして介護する「ヤングケアラー」らとその家族を対象に、無料の配食サービスを始めた。食事の用意や後片付けなど、日常的に追われる家事の負担軽減を目指す。県はモデル事業として、対象家庭ごとに週1回の配食を3カ月間実施してニーズを見極めるほか、県内に潜在化するケアラーの実態把握にもつなげたい考えだ。(金 旻革) 関連ニュース 深刻「ヤングケアラー」小学生も9人、学校に行けない 神戸市の窓口、44人支援 8割が本人以外から 32歳で仕事辞め、認知症の祖母と脳梗塞の母介護 「ヤングケアラー」自らの体験発信 「ヤングケアラー」相談150件 神戸市、無料でヘルパー派遣へ


 ケアラーは18歳未満が「ヤングケアラー」、18歳からおおむね30代前半までは「若者ケアラー」と呼ばれる。国は昨春、中高校生の約20人に1人が「世話をする家族がいる」とした調査結果を初公表し、支援の必要性を示した。県は今年6月に専用の相談窓口を設置。10月末までに延べ117件の相談が寄せられたという。
 「親の代わりに家事を担い、学校に行けない」などの声もあり、県は配食による負担軽減に乗り出した。対象は県の相談窓口か神戸市の専用窓口に申し出たヤングケアラー、若者ケアラーの家庭で、社会福祉士らが個別の事情を踏まえて必要と判断した場合に実施。提携する事業者が家族の人数分の弁当を置き配方式で届ける。弁当は冷凍で保存可能。食品などの値上げラッシュが続く中、家計を助けることにもつながる。
 県地域福祉課は「県内にケアラーがどれだけいるのかなどの情報はまだまだ少ない。配食事業を通じて、今後どのような支援が可能か見極めたい」とする。
 問い合わせは神戸市在住者の専用窓口TEL078・361・7600(平日午前9時~午後5時)、同市以外は県の窓口TEL078・894・3989(平日午前9時半~午後4時半)。神戸市は、市内のヤングケアラーがいる世帯に無料でヘルパーを派遣する訪問支援事業も実施している。

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