スパコン「富岳」世界1位キープ コロナ飛沫、がん治療…活用幅広く 計算性能2部門で6期連続

2022/11/15 04:00

スーパーコンピューター「富岳」=神戸市中央区港島南町7、理化学研究所計算科学研究センター

 理化学研究所は14日、計算科学研究センター(神戸市中央区)で稼働中のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、計算性能に関する世界ランキングの2部門で6期連続1位になったと発表した。「2冠」は5月の前回発表と同じで、進化と競争が激しい分野で世界トップクラスを維持した。 関連ニュース 「富岳」世界ランク1位から陥落 計算性能などの分野で 【写真】「世界2番でも全然かまわない」富岳は巨大なスマホ 兵庫入りの両陛下がスパコン「富岳」を視察、最先端への興味深く 海づくり大会に出席

 富岳は2019年に運用を終えたスパコン「京(けい)」の後継として理研と富士通が開発した。21年3月に本格稼働し、気象予測や、新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)拡散モデル、がん治療に関わる病理メカニズムの解明など、幅広い分野で活用されている。
 ランキングは年2回発表される。今回は、米国テキサス州で開催中の高性能計算技術に関する国際会議で公表された。
 富岳が1位を獲得したのは、産業利用などの「HPCG」と、ビッグデータを扱う「グラフ500」の2部門。HPCGの数値は、2位となった米国のスパコン「フロンティア」に約1・1倍の差をつけた。
 このほか、計算速度ランキング「トップ500」は前回と同じ2位、人工知能(AI)の計算などで活用する「HPL-AI」は一つランクを落として3位となった。いずれも1位はフロンティアだった。
 理研の松岡聡・計算科学研究センター長は「『富岳』が主要性能ランキングに登場するのは6回目で、今回の結果は世界トップクラスの総合的な実力を示している。幅広い高性能を容易に実現できる証しと言える」とコメントした。(勝浦美香)

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