維新、看板政策「身を切る改革」の限界露呈 幹部「訴えとしてもう弱い」 尼崎市長選、包囲網に屈す
2022/11/21 21:27
尼崎市長選で応援に訪れた日本維新の会の吉村洋文共同代表の演説を聞く支援者ら=13日午後、尼崎市の阪神尼崎駅前
日本維新の会が大阪府外初の首長誕生を目指し、新人を擁立した20日の兵庫県尼崎市長選は、与野党が実質相乗りで支援した新人が制した。維新は公認候補を立てた兵庫県内の市長選で5連敗。党内では「尼崎で勝てなければ(他の首長選は)かなり厳しい」との声も上がり、来春の統一地方選に向けて、看板政策「身を切る改革」の限界も露呈した。
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「自民から共産までが一致団結した相手を超えるには、地道な活動が足りなかった」。維新共同代表の吉村洋文大阪府知事は21日、府庁で完敗を認めた。自身も2度現地入りして支持を訴えたが、約2万7千票もの差がついた。
大阪に隣接する尼崎は、県内でも特に維新の浸透が進んでいるはずだった。現に市議会では第2勢力を確保。市長選と同時にあった市議補選では自民党候補ら4人を破って維新候補が議席を獲得した。
しかし、市長選は維新の伸長を警戒する自民や立憲民主などの「維新包囲網」にあえなく屈した。神戸新聞社の出口調査では、維新が取り込みを狙った無党派層の支持は3割に及ばず。得票は今夏の参院選で市内比例票トップを誇った約5万2千票に届かなかった。
「身を切る改革は訴えとしてもう弱い」と維新幹部はみる。特に尼崎は2代続けて「市民派」の市長が行財政改革を進めており、その後継候補に対し、攻めあぐねた。「政策で違いを出せなかった。もっと地域に入り込み、課題を訴えなければ」と反省を口にする。
維新は来春の統一選で、県議選や県内の市町議選に約120人を擁立する方針。推薦候補が争う姫路市長選も控える。前哨戦で水を差される形となったが、県組織の住本一礼幹事長は「1人でも多くの議員を誕生させ、地方組織を強化する。地道にやれるところからやるしかない」と話す。(三島大一郎)