13日に告示された兵庫県尼崎市長選は新人2人の一騎打ちとなった。白井文前市長、稲村和美市長と2代続いた「市民派市長」による行財政改革をどう評価し、子育て支援やまちのイメージアップを進めるか。初の同日選となった市議補選(欠員1)には5新人が立候補し、共に熱い論戦が始まった。
市長選に立候補したのは、届け出順に、日本維新の会公認で社会福祉法人理事長の大原隼人氏(44)と、稲村市長の後継で前市教育長の松本真氏(43)。
大原氏は午前、選挙事務所横で第一声。「子どもたちが誇りを持てる尼崎を作りたい」と気勢を上げ、兵庫維新の会の室井邦彦代表らから激励を受けた。自転車で市内各地を回るなどして支持を訴え、昼からは阪神尼崎駅前で出陣式を行い、党共同代表の吉村洋文・大阪府知事や藤田文武幹事長ら党幹部も来援。吉村氏は「市長が変われば尼崎は変わる」と訴えた。
松本氏は午前、市役所隣の公園で第一声。自民党や立憲民主党の県議、市議らが並ぶ中、「成長を加速させ、多様な市民に寄り添う市政を実現する」と力を込めた。稲村市長は「20年間、血のにじむような改革を進めたが、まちづくりはまだ途上。『選ばれるまち』にするため即戦力のある確かなリーダーが必要」と強調。商店街を巡り、西宮市長も応援に駆け付けた。
■大原隼人氏(44)の第一声
尼崎で生まれ、育ってきた。まちはきれいになり、周囲の評価は変わってきている。尼崎のイメージをさらに良いものにして、未来ある子どもたちに渡したい。そのために大切なことは市民一人一人が「良いまちに住んでいる」と心から思えるまちにすること。
個人的に大学までの教育費無償化をすべきと思っているが、市長にはできないこともある。まずは、物価高に対する臨時措置からでも構わないので、小中学校の給食費の無償化を段階的に進めたい。
また、何よりも大切なことは、県との連携。例えば、学校現場の負担を減らすために教員を増やすなど、県と連携して進めるべきことは山ほどある。
尼崎の財産は交通の利便性。臨海部では物流施設が多くできている一方で、渋滞も多発している。県道や国道の整備を日本維新の会の国政、県政、市政が連携して訴えていく。
20年にわたり、2人の女性市長が続いてきて、選挙は相手候補が特に出ることもなく市政を担ってきた一面がある。今回は市民のみなさんに未来を選択する権利を渡せたと思っている。尼崎の未来を作るための挑戦。死に物狂いで頑張る。
■松本真氏(43)の第一声
7月に文部科学省を辞め、尼崎市内を駆け回り、活動するさまざまな方々と話をしてきた。市民の声をしっかりと受け止めるのがリーダーの役割だ。
尼崎は財政問題や環境問題など多くの課題を市と市民の力で乗り越え、大きく成長を遂げようとしている。これを加速させる。
教育長時代には中学校給食開始に向けた準備や、全学校でのタブレット1人1台配布、不登校の子の居場所づくりなどに取り組んだ。次は、尼崎で育つ子どもたちを応援したい。18歳以下の医療費無料化や、保育の質と学力の向上、インクルーシブ教育などを進め、子育て世代を支援する。
さらに民間と連携して駅前の魅力を高め、空き家や路上喫煙対策などきれいなまちづくりを通じて「住みやすいまち」というイメージを向上させる。
何より重要なのは、市民に寄り添うこと。尼崎には多様な背景がある人が多様な形で生きている。その生活を支える。じっくり対話し、誰一人取り残さない。かけ声だけでは行政は動かない。課題解決のため、経験に基づいた実行力で確実に市政を動かしていく。市民と一緒に、尼崎の次のステージを作っていきたい。
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