堂安律が値千金の同点ゴール 途中出場の24歳「逆境大好き」の本領発揮 サッカーW杯、ドイツと初戦

2022/11/23 23:40

練習で笑顔の堂安律=15日、ドーハ

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は23日、ドイツとの1次リーグE組初戦に臨み、0-1の後半30分に途中出場の堂安律が値千金の同点ゴールを決めた。左サイドから崩し、南野拓実のクロスをGKノイアーがはじいたところを左足で押し込んだ。所属チームのフライブルクで普段からドイツの選手と渡り合っている24歳の若武者が、大一番で躍動した。 関連ニュース 「マラドーナみたいやな」出会いから14年、兄のような恩師が語る堂安律の素顔 サッカーW杯 ヴィッセル大迫、W杯バックアップメンバーを辞退「誰かのけがを祈るなんてしたくない」 イニエスタ選手、神戸にサッカーシューズの新ブランド店 自身も使用、履き心地にこだわり「感動した」

 身長172センチ、体重70キロ。体が強く、左足を駆使した積極的な仕掛けと威力のあるシュートが持ち味。強気な性格で「ビッグマウス」と評され、口調が似ていることもあってか、日本の大黒柱だった本田圭佑(36)とイメージを重ねるファンも多い。今大会の代表入りが決まった11月1日には自身のユーチューブチャンネルを更新し、「自信しかない」「優勝を目指さないでどうする」と、変わらず頼もしい言葉を並べた。
 3兄弟の末っ子として兵庫県尼崎市に生まれた。次兄の憂さん(26)はJ3のAC長野パルセイロなどでプレーし、2020年に現役を引退している。
 2015年、高校2年生でガンバ大阪の下部組織からトップチームに昇格後、瞬く間に欧州へとステップアップした姿は「エリート」を想像させる。しかし、実は小学生の頃から挫折を味わい、反骨心を力に変えてきた努力の人だ。
 尼崎市立浦風小4年の時にはセレッソ大阪の下部組織の入団選考に落選した。その後は西宮市の西宮サッカースクール(西宮SS)で技術を磨き、セレッソを振り向かせる存在になったが、その誘いを断ってライバルのガンバの下部組織に入団している。中学進学に合わせてブラジル留学を希望したこともあったが、周囲の助言もあって進路を決め、壁にぶち当たりながらも成長曲線を描いてきた。
 5年前の2017年から活躍の場を欧州に移し、オランダのフローニンゲン、PSVアイントホーフェン、ドイツのビーレフェルト、フライブルクに在籍。現在所属するフライブルクは、ドイツ1部リーグの2位につけており、堂安は主力としてその好調を支える。
 2018年には、サッカー専門誌フランス・フットボールが選ぶ「コパ賞」(21歳以下の選手に贈られる賞)で、フランス代表のエムバペ(パリ・サンジェルマン)らとともに若手10傑に名を連ねた。国際Aマッチ29試合出場3得点(W杯開幕前時点)。2017年のU-20(20歳以下)W杯、昨夏の東京五輪では日本の主軸として活躍した。
 A代表でのゴールは2019年1月のアジア・カップ準々決勝以来4年近く遠ざかっていたこともあって、今大会では日本の絶対的な主力という見方はされていなかった。加えて、世界一になった経験があるドイツ、スペインと1次リーグE組で同組となり、日本は苦戦が予想されていた。「逆境大好き人間」を自称する堂安にとって、発奮材料には事欠かない状況だった。

【どうあん・りつ】1998年、兵庫県尼崎市出身。浦風FC、西宮SSを経てガンバ大阪の下部組織で育ち、2015年にトップチームでデビュー。2017年のU-20(20歳以下)W杯、昨夏の東京五輪では日本の主力を張った。国際Aマッチ29試合出場3得点(W杯開幕前時点)。2017年から欧州に移り、オランダのフローニンゲン、PSVアイントホーフェン、ドイツのビーレフェルト、フライブルクでプレー。プロ野球では巨人ファンであることを明らかにしている。172センチ、70キロ。24歳。

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