少年事件記録廃棄の経緯「被害者遺族に説明を」 最高裁と神戸家裁に要望書提出

2022/11/24 11:54

最高裁判所=東京都千代田区

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の全事件記録が廃棄されていた問題で、兵庫県が来春制定を目指す「犯罪被害者等支援条例」の内容を検討している委員会は24日、最高裁と神戸家裁に対し、廃棄の経緯を調査した結果の公表や、同事件の被害者遺族への丁寧な説明を求める要望書を提出した。 関連ニュース 「原本記録は一つしかない」少年A事件の全記録廃棄 神戸地検コメント 遺族の土師守さん「きちんと調査し公表して」神戸家裁の記録破棄、最高裁が聞き取り調査 「再び息子を奪われたよう」稲美・高1集団暴行死、母親の高松さん 家裁の事件記録破棄に


 県によると、要望書では、記録廃棄により同事件を永久に検証できなくなったことの責任は重大と強調。真相解明を願う犯罪被害者遺族への「二次被害」と指摘した。要望書は県職員が同日午前、神戸家裁と東京の最高裁を訪れ、直接手渡したという。
 同条例検討委員会は県が設置し、犯罪被害者家族や学識者、被害者支援団体の関係者らで構成。同事件で次男の土師淳君=当時(11)=を亡くした父の土師守さん(66)も委員を務めている。土師さんは10月末、検討委とは別に、自ら要望書と陳述書を神戸家裁に提出している。
 検討委は11月4日に会合を開き、今回の要望書を出すことで委員らの意見が一致していた。同事件の記録廃棄に関しては、関西を中心に活動する「犯罪被害者の会・つなぐ会」も神戸家裁に抗議文を出したほか、兵庫県の斎藤元彦知事も会見で疑問を呈した。
 神戸連続児童殺傷事件を含め、全国の家裁では、社会の耳目を集めた重大な少年事件の記録廃棄が次々と判明。批判が寄せられる中、最高裁は、運用が適切だったかを有識者委員会で検証するとし、同事件の記録については、廃棄した当時の神戸家裁職員らに聞き取り調査を実施した。25日に有識者委の初会合が開かれる予定。(篠原拓真)

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