開幕前から堂安律のブレーク予告、同郷の岡崎慎司が語る「崩れない」強さの秘けつ サッカーW杯
2022/11/26 19:55
ドイツに勝利し、笑顔を見せる日本代表の堂安律(中央)ら=23日、ドーハ
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組初戦で、強豪ドイツから同点ゴールを奪い、逆転勝ちを演出した日本代表MF堂安律(24)=フライブルク、尼崎市出身。27日のコスタリカ戦を前に、代表の先輩で同じ兵庫県が故郷の岡崎慎司(36)=シントトロイデン、宝塚市出身=がエールを送る。「W杯の経験者が少ない中、律は精神的に頼りになる」と太鼓判を押し、活躍に期待を寄せる。(有島弘記)
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■しっかり積み重ねてきた選手
W杯3大会に連続出場した岡崎は開幕前から「しっかり積み重ねてきた選手は結果を出せる」と、堂安のブレークを予告していた。
23日のドイツとの初戦は前半の劣勢から一転、日本が盛り返したが、スコアは後半26分で0-1のまま。しびれる場面で登場した堂安も初出場組の一人だが、冷静だった。投入から4分後、こぼれ球を見逃さず、利き足の左で強烈なシュートを突き刺した。
試合後、「俺しかいないという気持ちでピッチに入った」と明かした堂安。強気な発言は個性として語られるが、岡崎はメンタル面について「いろいろ試行錯誤してやっているようで、だから崩れない」と、鍛錬の成果でもあるとみる。
日本代表で2人が一緒に時間を過ごしたのは2019年夏だけだが、岡崎は、同じ欧州を主戦場とする堂安の成長を見続けている。
「エリートと言われる選手は、自分の苦手を克服できずに尻すぼみに終わっていくことが多いが、律はそれをしっかり踏まえ、(弱点だった部分を)ヨーロッパ基準まで持っていった」
■コスタリカ戦でもキーマン
17年夏、19歳でJリーグのガンバ大阪からオランダのフローニンゲンに移籍した堂安は年々、肉体がたくましくなり、大柄な外国人選手に当たり負けしなくなった。得意の左足から繰り出すドリブルやシュートはより脅威になった。
「しかもハードワークができるから波がない」と岡崎。事実、所属するドイツ1部リーグの中堅クラブ、フライブルクではほぼ休みなく起用され、チームを2位に躍進させている。
今大会の日本代表について、岡崎はベンチに控える「切り札」の多さに期待している。ドイツ戦では、途中投入の堂安と浅野拓磨(28)=ボーフム=が大仕事をやってのけた。岡崎が「(活躍が)計算できる」と話す堂安は、コスタリカ戦でもキーマンになる。
【岡崎慎司】おかざき・しんじ 兵庫県宝塚市出身。2005年、滝川第二高からJ1清水エスパルス入り。2011年に渡欧し、ドイツ1部を経て2016年にイングランド・プレミアリーグのレスターを初優勝に導いた。W杯は南アフリカ、ブラジル、ロシア大会に3大会連続で出場。国際Aマッチ119試合に出場し、歴代3位の通算50得点。昨季限りでスペイン2部のカルタヘナを退団し、今季はベルギー1部のシントトロイデンに在籍している。175センチ、76キロ。36歳。
【堂安律】どうあん・りつ 1998年、兵庫県尼崎市出身。浦風FC、西宮SSを経てガンバ大阪の下部組織で育ち、2015年にトップチームでデビュー。2017年のU-20(20歳以下)W杯、昨夏の東京五輪では日本の主力を張った。国際Aマッチ30試合出場4得点。2017年から欧州に移り、オランダのフローニンゲン、PSVアイントホーフェン、ドイツのビーレフェルトでのプレーを経て、現在はフライブルクに所属する。172センチ、70キロ。24歳。