田中独走、強さ底なし 狙って祐梨子超え 陸上・セイコーGGP女子1500M
2020/08/24 06:18
女子1500メートル 力走する田中希実(手前)。4分5秒27の日本新記録をマークして優勝した
陸上のセイコー・ゴールデングランプリは23日、東京・国立競技場で行われ、女子1500メートルで田中希実(豊田自動織機TC、西脇工高出)が4分5秒27の日本新記録を樹立した。2006年に同じ小野市出身の小林祐梨子(当時須磨学園高)がマークした4分7秒86を14年ぶりに2秒59塗り替えた。
関連ニュース
田中希実が18年ぶり日本新 女子3000m、福士加代子の記録を更新
4・8万人のまちが生んだ新旧日本記録ランナー 高校駅伝に2人だけが持つ記録があった
「きつい練習をずっとやってきた」進化し続ける20歳のマルチランナー 田中が新たな記録
あまりにもスケールの大きい田中の走りに、観客のいない国立競技場に関係者らの拍手とどよめきが沸き起こった。女子1500メートルの日本記録を一気に2秒59も更新。しかも、スタートからレースを引っ張る驚異的な内容だ。それでも本人は喜びを爆発させるでもなく、落ち着いた表情でトラックに一礼した。
今大会での記録更新を自らに課していた。「緊張して、展開は考えないことにした。頭が真っ白だった」という言葉が信じられないようなレース運びだった。400メートルをほぼ66秒の均等ペースで刻み、最後の1周に入ると満を持してスパート。身長153センチの体が、段違いのスピードで後続を引き離していった。
「自分の感覚に任せて走ったら自然とそうなった」。どんな展開でも記録を狙えるスタミナとスピードを身に付けようと、コロナ禍でも妥協することのなかった練習のたまものだ。
前記録保持者の小林祐梨子さんは、親交があり、刺激を受け続けてきた同郷の先輩。「うれしい気持ちを祐梨子さんに伝えたい」と声を弾ませた。
7月には3000メートルの日本記録を樹立し、5000メートルでも日本歴代2位の記録を持つ。20歳が秘める可能性は底知れない。「来年の五輪でも、いい走りをお見せできるように」。五輪本番と同じ会場で衝撃的な初陣を飾った。(永見将人)
【たなか・のぞみ】1999年9月4日、小野市生まれ。母千洋さんは北海道マラソン優勝などを誇る市民ランナー、コーチを務める父健智(かつとし)さんも元実業団選手。幼少時からマラソン大会などで活躍し、小野市立小野南中では全国中学校体育大会1500メートルで優勝。西脇工高では兵庫県高校駅伝1区3年連続区間賞でチームの優勝に貢献した。2018年U20世界選手権3000メートル優勝、19年世界選手権5000メートル14位。豊田自動織機TC、同大3年。153センチ、41キロ。20歳。