ルヴァン杯決勝に挑むレイソル江坂 タイトル、兵庫への思い語る
2020/12/30 05:00
9得点10アシストで柏の攻撃陣をけん引した江坂任(柏レイソル提供)
JリーグのYBCルヴァン・カップ決勝が来年1月4日に東京・国立競技場で開かれる。3度目の頂点を目指してFC東京と対戦する柏の攻撃陣をけん引するのが、兵庫県三田市出身の江坂任(あたる)だ。28歳の司令塔は、大一番を前に神戸新聞社のオンライン取材に応じ、J1で自身初のタイトルに懸ける思いや、幼なじみの小川慶治朗(神戸)に対するライバル意識、今月31日開幕の全国高校選手権に2大会連続で出場する母校神戸弘陵高へのエールなどを口にした。(尾藤央一)
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-J1で自身最多タイの9ゴール、キャリアハイの10アシストだった今季を振り返って。
「連戦が多かった中、数字を残せたことは良かった。プレーの質は去年より上がった。自分の理想とするアシストもできたので、数字が増えてきたのは良い傾向だと思う」
-得点王とMVPを受賞したオルンガとのコンビは脅威だった。
「自分が(ボールを)持ったときには一番に動いてくれ、ゴールに直結する動きをしてくれる。自分の特長を理解して、一番点を取りやすい動き方ができる選手。もらい方はすごく工夫している。あれだけ身長があるので、上だけかと思うところもあるけど、足元もしっかりしているし、スピードもかなりある。今年対戦した相手のDFやGK陣はびっくりしたんじゃないか」
-今季成長した点は。
「一概には言えないが、ポジショニングの部分と認知の部分は、ほんとにここ1年ぐらいで成長したと思う。今までは感覚でやっていた部分が大半だったけど、今は感覚も大事にしつつ、しっかり見て状況判断して、一番良い選択ができている。成長したのは(コロナ禍で自粛期間中に)自分の分析をしだしてから。今シーズンから去年の動画も含めてゲームを見ながら、自分の良い悪いを把握し、自分のプレースタイルを理解した」
-課題は。
「もっともっとチャンスで絡めるし、もっともっとボールを要求してもらわないといけない」
-日本代表入りへの期待も高まっている。
「入れればうれしいですけど、自分がそこまでの実力があると思ってない。自チームで結果を出して評価してもらって、入れればいい。そこを一番に考えるというよりは、自チームでどれだけ勝利に貢献できるか」
-2018年にJ2降格した時もレイソルに残った理由は。
「(神戸を指揮していたネルシーニョ)監督が来る。外国人の監督でやったことがなかったですし、降格させてしまった部分もあったので、もう一回自分の力でJ1に上げて、J1の舞台に戻ってくるという気持ちだった。神戸の小川慶治朗選手にも話は聞きました」
-幼なじみの小川慶治朗選手との対戦は特に意識するか。
「毎試合、意識する。ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)も慶治朗が出ている時は見ていた。(無効試合になったが)ACLのハットトリックは刺激になった」
-小川選手のJ1での通算得点を上回ったが。
「別に何も変わらない。逆に得点を多く取ってるからどうとかではなく、これから抜かされることもあるし、そこは切磋琢磨(せっさたくま)できれば」
-昨年、一昨年と地元の三田市でサッカー教室に参加した。
「毎年同じようなことができればいい。自分発信でも何かできることがあればやりたい。三田自体が好きなので、自分の育った場所に何か還元できれば」
-3月に長女が生まれた。
「家族に良いプレーを見せたいし、家族のために頑張れることが一つ増えたので、力の源になっている。(小川選手の子どもと)1歳くらい違うので、互いに子育ての話もする。奥さんに任せちゃってるんであれですけど、子どもは元気に育ってくれれば何でもいい」
-母校の神戸弘陵が2年連続で全国高校選手権に出場する。
「僕がいたときより兵庫の中で強くなっている印象。全国でどれだけできるのか楽しみ」
-昨年は後輩にスパイクをプレゼントした。
「高校ですごくお世話になったし、よくしてもらった。今もすごく気にかけてもらっているので、そういう部分で恩返ししたい」
-高校3年時は滝川第二が選手権で全国優勝。神戸弘陵は兵庫県総体決勝で大敗した。
「僕らの代の県選抜に選ばれている選手もほとんど滝二だった。決勝で0-6だったので完敗。近畿(高校選手権準決勝)でも2点先制した後に退場者を出して大差(2-7)で負けたので、やっぱり力強いなと思った」
-最後の選手権は兵庫県大会ベスト8で市西宮に敗戦。
「滝二に負けっぱなしだったので、滝二に勝って全国行きたいと思ったけど、そこまでの力がなかった。(主将で背番号10を背負って)プレーで引っ張っていたけど、下の学年も多かったので、そこをしっかりまとめきれなかった。それが結果につながった部分もある」
-神戸弘陵での経験で糧となっていることは。
「攻撃では自由にやらせてもらった。守備の部分はもっともっとそのときにやっとけば。(練習は)きつかったのはきつかったですけど、大学の方がきつかったのでなんとも言えないです(笑)」
-今季最後の公式戦、ルヴァン杯決勝が1月4日に控える。
「(FC東京とリーグ戦の)最後の対戦が良い内容、良い結果、良いイメージで終われたので、そこはポジティブに捉えている。自分たちが(新型コロナウイルスの集団感染発生で)延期にさせてしまったので、申し訳なかった。リーグで勝った時のような良いイメージでできれば」
-FC東京の印象は。
「守備が堅く、カウンターが鋭い。どれだけ守備を突破できるか。奪われた後の切り替えで奪い返せるか。そこがキー」
-ルヴァン杯で優勝すれば、J1で自身初のタイトル。
「タイトルとは無縁だった。あと1勝でタイトルってところまできたので、自分が貢献して優勝できれば」