尼崎出身なのに「大の巨人ファン」時の人、堂安律のこぼれ話 「1番じゃないとあかん」
2022/11/25 16:30
ドイツ戦後、ファンの声援に応える日本代表の堂安律=23日、ドーハ
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本代表MF堂安律(24)=フライブルク=が時の人になっている。23日の1次リーグE組初戦で、強国ドイツから値千金の同点ゴールを奪い、逆転勝ちの立役者となった。その素顔にも注目が集まるが、生まれ育ったのは大阪府と隣接する兵庫県尼崎市。「日本一早いマジック点灯式」を行う商店街など、プロ野球阪神びいきの街として知られるが、堂安はかつて、こう明かしている。
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「尼っ子として、これは言ったらアカンのかもしれないけど…大の巨人ファンです」
それは2018年6月。尼崎市役所への表敬訪問に合わせ、じっくり話を聞いた時だった。
家族の影響で巨人ファンとなり、好きになった頃は2009年の日本一を含むセ・リーグ3連覇と、球界の盟主として輝きを放っていた。
「3番小笠原、4番ラミレス、5番亀井。7番阿部、1番坂本。分からないです?」と、テレビにくぎ付けになった頃のジャイアンツ打線について話し始めると、止まらなかった。
取材した18年6月は、オランダ・フローニンゲンでの欧州初シーズンを終えた直後だった。異国の地でも、練習を終えた後の帰宅時間とプロ野球中継が重なり、よく見ていたという。
生粋の巨人ファンは、「俺は強いチームが好き」とも話していた。サッカーなら、アンドレス・イニエスタ(現ヴィッセル神戸)、シャビら豪華タレントを要し、黄金期を築いていたバルセロナ。バスケットボール漫画の「スラムダンク」では、主人公の桜木花道がいち押しだったという。「1番じゃないと俺はアカンと思うから。(スラムダンクでも)どんなに強い相手が来ても、ビビってるくせに勝ちますもん」と言った。
幼少から「最強」に心引かれた堂安。その象徴が巨人だが、阪神への思いも語っている。
「巨人が好きやけど、阪神が負けても嫌なんですよ。巨人と阪神で優勝争いをやって、巨人が倒してほしい」
その阪神は25年2月に、2軍の本拠地を西宮市の鳴尾浜球場から、尼崎市の小田南公園に移す。そこは堂安が「思い出の場所」と即答した公園だった。自宅が近く、友だちを捕まえてはサッカーや野球を楽しみ、木登りで傷だらけになっても遊び尽くしたという。
尼崎市でたくましく育った堂安は、今回のW杯でメンバー入りが決まった際、こう言い放っている。「夢を見ていい。小さい頃、W杯に出ると言ってばかにされてきた人たちが夢を見て、この舞台に立った。優勝を目指さないでどうする」。ドイツ戦が、その第一歩。「1番」を愛する堂安に、夢を託したくなる。(有島弘記)