捕獲鹿の情報管理スムーズに ジビエ加工施設がクラウド導入、消費者も閲覧可能

2022/03/02 05:30

クラウドサービスで管理を始めた白井壮さん=豊岡市日高町八代

 鹿をジビエに加工する兵庫県豊岡市日高町八代の鹿肉処理加工施設「やしろのめぐみ」が、猟師に捕獲された鹿の情報を管理できるクラウドサービスの活用を始めた。鹿の捕獲や加工に関する情報を消費者に公開することも可能で、代表の白井壮さん(43)は「安全性を証明するツールになる」と期待している。 関連ニュース 「足と靴が一体となったよう」害獣駆除されたシカの革で靴製作 軽くて柔らかく高機能 キッチンカーで鹿肉の魅力発信 神戸大生、ジビエに魅了され休学 高知で猟師の手伝いも経験 イノシシ肉のカレー、シカ肉ミートボール ジビエ新料理2品発売へ 南あわじ

 同市は鹿の捕獲数が年間約7千頭と県内有数。白井さんは産業廃棄物処理業を営む傍ら、自身も狩猟に携わってきた。駆除した鹿は埋設処理が必要だが、大きな穴を掘る作業などが高齢の猟師には負担だと感じていたことから、自身で2020年11月に処理施設を開設した。年間約300頭が猟師から持ち込まれ、ペットフード専用として、肉や骨などを乾燥させたジャーキーなどをインターネットで販売している。
 施設は県の認定を受け、県の定める11月~翌年3月の狩猟期間は、捕獲場所や大きさなど猟師から持ち込まれた鹿に関する情報を県へ報告する業務を担っている。
 今回は、電子技術を活用した狩猟関連サービスを展開する企業「ハンテック」(東京)が開発したクラウドサービス「ジビエクラウド」を試験的に導入。県が推奨するサービスで、これまで手書きで行っていた報告用の書類作成をパソコンやスマートフォンで行え、作業の効率化を図れる。
 さらに、誰が、いつ、どこで捕った鹿なのかを情報公開できるシステムも備わっており、QRコードを商品に貼っておくと、消費者がネット上で雌雄やサイズ、捕獲場所、わなの種類などを閲覧できる。
 2月中旬には県から委託を受けた丹波市の企業「野生鳥獣対策連携センター」のスタッフが訪れ、同システムの導入に関する説明を受けた。県は希望する施設を対象に3月15日までの狩猟期間に試験的に運用し、来年から本格導入する予定という。
 白井さんは「より広く手に取ってもらうために、信頼度を高めたい」と話している。(石川 翠)

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