【河合美智子の但馬漫遊記】また森に環る「新聞ばっぐ」
2022/07/23 05:30
しまんと新聞ばっぐインストラクターの長島敏行所長(右)と河合美智子さん=神戸新聞広谷大屋専売所
「しまんと新聞ばっぐ」をご存じだろうか?
日本最後の清流といわれる四万十川で台風一過の川岸の木々にレジ袋が引っかかっている光景を見て、高知市在住のデザイナー梅原真さんが「せめてこの流域で販売される商品は新聞紙で包もう」と言い出した。読み終えた新聞紙を折り、でんぷんのりで貼り合わせてバッグにしたのは地元の主婦、伊藤正子さん。「もったいない」という日本人の美意識と「折り紙の手わざ」が融合して「しまんと新聞ばっぐ」は誕生したそうだ。
「読み終わるとごみでしかなかった新聞に新しい価値が生まれ、ギフトにまでなった。新聞を売るだけではなく、新しいかたちの提案、考え方を伝えていくことが自分の使命と感じた」と語ってくれたのは、神戸新聞広谷大屋専売所(兵庫県養父市)所長の長島敏行さん。インストラクターの資格を取得し、講習会を開いたり、交流サイト(SNS)で作品を発表したりしている。
「プラごみが深海750メートルに堆積」という記事が出たのは6月だったか。プラスチックは分解されず千年先にも残るかもしれないという。「しまんと新聞ばっぐ」は樹木から生まれ、また森に環(かえ)る循環のしくみ。楽しみながら地球のための小さな一歩をみなさんも体験してみてはどうか。
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