名湯と自然の中で仕事を 丹波市唯一の温泉旅館にワーケーション対応客室「最新設備と旅館の雰囲気」両立
2022/02/27 05:30
客室をワーケーションに対応した部屋に改装した、近藤正幸さん=「国領温泉 助七」
兵庫県丹波市唯一の温泉旅館「国領温泉 助七」(丹波市春日町国領)に、ワーケーション対応の客室が完成した。新型コロナウイルス感染拡大で利用客が減少する中、改装を決断。同旅館4代目の近藤正幸さん(44)は「豊かな自然に育まれた環境の中で、ゆったり過ごしてもらえれば」と話している。(川村岳也)
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大正初期の創業。周辺には、春日局(かすがのつぼね)のゆかりの「興禅寺」のほか、白龍の滝で有名な「日ケ奥渓谷」などの名所がある。舞鶴若狭自動車道春日インターチェンジから近く、豊かな自然と「山之神湯」と呼ばれた名湯を求め、主に京阪神から利用者が訪れていた。
しかし、コロナ禍で状況は一変。利用客は最盛期の9割減となった。近藤さんはコロナ収束後の需要回復を見込み、観光地で働きながら休暇を取る「ワーケーション」に着目。日本政策金融公庫の融資を受け、昨年10月から、1989年に建てられた客室のリフォームを始めた。
和室8部屋のうち、3部屋をつなげて和洋折衷の2部屋に改装。畳敷きとフローリングがあり、二つのベッドを置いた。内装は木材を基調とし、改装前の欄間をそのまま活用。ワーケーションスペースには、テレワークに対応できるようインターネット環境も整備した。1部屋は段差をなくし、スロープも設けた。近藤さんは「最新の設備を取り入れつつ、昔ながらの旅館の雰囲気を残すように心掛けた」と話す。
主にファミリー層の短期滞在を想定している。自慢の会席料理には、自家栽培の米と野菜を使用。春には山菜、夏には野趣あふれるコイなど、四季折々の味わいを提供する。近藤さんは「若い世代の方に田舎暮らしを堪能してもらい、ゆくゆくは移住につながれば」と話している。
1室の定員は2~6人。1泊2食付きで1人3万円(税別)。同旅館TEL0795・75・0010