「県としての役割終えた」 薬草栽培に特化の研究施設が閉鎖 兵庫・丹波

2022/06/15 05:30

3月で廃止された薬草試験地=丹波市山南町和田

 トウキやセネガといった薬草の研究施設「県立農林水産技術総合センター薬草試験地」(兵庫県丹波市山南町和田)が今年3月末で廃止されたことが、県や同市への取材で分かった。同センターは「県としての薬草研究は終了し、役割を終えた」とする。土地と建物は市が所有し、今後の活用方法は白紙の状態だ。 関連ニュース 【写真】丹波市の山南地域で栽培されているトウキ 薬草がデザートに? こんなに使える「トウキ」の葉! レシピブック誕生 “長寿の薬草”ゆでるとワカメのよう 元校長「80歳でも元気」

 同市山南地域は、江戸時代から薬草栽培が盛んだったとされ、旧山南町時代から住民らが薬草を生かした地域活性化に取り組んでいる。
 同センターによると、同試験地は1985年、旧山南町の要望を受けて県が設置。センターの出先機関として、新品種の導入や優良品種の選定、害虫や連作障害への対策など、全国的にも珍しい薬草栽培に特化した研究を行っていた。
 ただ、主要な研究は99年に完了し、以降は研究者の常駐をやめていた。最近は地元から研究の要望も寄せられていなかったため、閉鎖を決定した。
 今後、農家らから薬草生産に関する指導の要望があれば、加西市にある同センターや丹波農業改良普及センターから研究者や職員を派遣して対応する。
 丹波市農林振興課は「土地と建物の活用について、市の方針は全く決まっていない。住民や薬草生産者と協議しながら、施設のあり方を考えていきたい」としている。(真鍋 愛、那谷享平)

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