暴言市議に辞職勧告 丹波篠山市会が決議案可決 本人反省も「任期を全う」

2022/06/24 05:30

辞職勧告決議案の可決後、取材に応じる安井博幸市議=丹波篠山市北新町

 兵庫県丹波篠山市の養鶏所の臭気トラブルを巡り、地元住民に暴言を吐いた安井博幸市議(68)=無所属=に対する辞職勧告決議案が23日、同市議会本会議で賛成多数で可決された。議員辞職勧告決議案が同市議会で可決されるのは初めて。勧告に法的拘束力はなく、神戸新聞社の取材に対し、安井市議は「(勧告は)重く受け止めるが、辞職するつもりはない」としている。 関連ニュース 市議が口論で「なんや、このヤクザ」 鶏舎の悪臭問題巡り、丹波篠山の住民が市議2人を提訴 職場でわいせつな会話、難病の同僚に「はげ」「死ね」 職員6人懲戒処分 「クチュクチュに言うてもたる」遊具契約額拡大、市議から「過度な要求」

 決議案は賛成11、反対1、棄権1で可決された。提出したのは、最大会派「青藍会」に所属する市議5人で、「市議会に対する市民の信頼を著しく失墜させ、その権威や品位を傷つけた」などとしていた。議員政治倫理条例が4月に施行されたばかりだった。
 決議案などによると、安井市議は養鶏所の臭気トラブルについて、交流サイト(SNS)に文章を記載。5月10日の議会報告会後、文章の訂正を求めた地元住民と口論になり、「なんや、このやくざ」などと発言したとされる。
 地元住民らは「暴言や威圧行為で精神的苦痛を受けた」などとして、損害賠償を求める訴えを神戸地裁柏原支部に起こしている。
 安井市議は本会議後の取材で、暴言について「つるし上げの状態になり、思わず感情的になってしまった。失言だった」と反省しつつ「辞職するほど重いものではない。任期の職責を全うしたい」と話した。
 安井市議を訴えた細川通生さん(44)=同市=は「発言は議員倫理に背くものだった。議会の対応はありがたい」とし、「議員を続ける発言の根拠がわからない。議会の判断を真摯(しんし)に受け止めて、自ら身を引いてほしい」と話した。(堀井正純、谷口夏乃)

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