「枝豆戦国時代」生き残りへ 夏の定番目指す「デカンショ豆」 丹波篠山の若手農家らPR強化
2022/07/06 05:30
ふっくらとした実が付いたデカンショ豆を収穫する構井友洋さん=丹波篠山市今田町木津
兵庫県丹波篠山市の若手農家たちが特産化を目指す白大豆の枝豆「デカンショ豆」の収穫が始まった。全国的な知名度を誇る秋の味覚「黒枝豆」より一足早く7、8月に販売する。新型コロナウイルス禍でコメ消費が減り、大豆への転作が全国的に進んだことで、「今や枝豆戦国時代」との声も。関係者たちは学校給食での提供など、デカンショ豆のPRに一層力を入れる。(那谷享平)
関連ニュース
うま味や歯ごたえが売り 枝豆「デカンショ豆」夏の新名物目指す 丹波篠山
黒枝豆の新品種「ひかり姫」本格栽培へ 人気の「丹波黒」元に兵庫県が開発、茶色い斑点も少なく
丹波篠山に新名所? 黒枝豆の自販機が登場 ケンミンが設置、ビーフンも販売
出荷作物が減る夏に、丹波黒大豆の栽培技術を生かして新しい枝豆を売りだそうと、若手農家らが2020年から販売を始めた。収穫後3時間以内の冷蔵で鮮度を保つのをブランドの条件としている。
丹波農業改良普及センターによると、販売3年目の今年は同市内の農家6軒が計約7ヘクタールで栽培。6月下旬から8月下旬にかけて計約23トンの収穫を見込み、主にJA丹波ささやまを介して、県内の量販店などに並ぶ。
最も早く収穫が始まった「丹波篠山かまい農場」(同市今田町木津)。構井友洋代表(39)は「強い甘さの後に豆の香りがくる。でも後味はすっきり。今年の出来は良いですよ」と手応えを口にする。さまざまな栽培法を試し、生育データを蓄積してきた。
ただ、コロナ禍で外食を中心にコメ消費が減ったことや、世界的な穀物価格の高騰で主食用米以外の生産が有利になったことで、大豆栽培に切り替える農家が増加。わずかな期間で枝豆の産地間の競争が激しくなった。同センターの担当者は「夏を中心に、日本は枝豆の戦国時代。デカンショ豆の特産化を始めた時には想定しなかった事態だ」と明かす。
関係者たちはPRを強化しており、7月15日には同市の学校給食で枝豆を提供。担当者は「まずは地元・丹波地域で夏の味覚として定着させていきたい」と意気込む。農家も7~9月にJR西が企画する農業見学ツアーで、デカンショ豆を紹介する。また、JAの通販サイトでも新たに取り扱いを始めた。