通園バスに取り残されたら「SOS」どうする? 園児らクラクションの鳴らし方練習 丹波篠山
2022/10/19 05:30
水筒を使ってクラクションを押す園児=西紀みなみ幼稚園
静岡県の認定こども園で3歳女児が通園バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件を受け、丹波篠山市立西紀みなみ幼稚園(兵庫県丹波篠山市黒田)で、車内に取り残された際に助けを求める方法を学ぶ訓練があった。市内では初の試み。園児らはリュックサックなどを背負って通園バスに乗り込み、実際にクラクションを鳴らすなどして「SOS」の出し方を習った。(谷口夏乃)
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同園には園児42人が通い、うち35人がバスを利用。乗降時には利用する園児の名簿と照合して安全を確認し、園児が取り残されることはなかった。しかし、静岡の事件後まもなく、保護者から「同様の事案を防ぐために訓練はあるのか」との問い合わせが同園に寄せられ、市教育委員会に相談して実施を決めた。
訓練があった17日には、4~6歳の園児42人が参加。はじめに近成真介園長が「(閉じ込められた場合)『ここにいる』というのを周りの人に伝えないといけない」と説明。その後、2組に分かれ、普段利用している通園バスに乗り、窓を開けて大声で助けを呼んだり、ドアを開けたりする練習を繰り返した。
クラクションを鳴らす訓練では、体重を乗せて両手で押す▽水筒で押す▽お尻で押す-の3種類を実践。同園の教諭から「(クラクションの)真ん中を目いっぱい押して」「長く押し続けてね」などとアドバイスを受け、園児らは一生懸命に取り組んだ。
近成園長は「もし、おうちの車で閉じ込められた場合にも同じようにやってみて」と呼びかけ、児童(6)は「簡単だった。(閉じ込められたとしても)ちゃんとできそう」と話していた。
静岡の事件を受け、政府は、来年4月から全国の幼稚園や保育所、認定こども園などのバスに安全装置設置を義務づける再発防止策をまとめ、設置費用を実質全額補助する方針を打ち出している。