創建550年祝い、秘仏の本尊開帳 平安中期の作、半世紀ぶり 丹波・三宝寺

2022/10/30 05:30

除幕し披露された山号碑=三宝寺

 兵庫県丹波市の古刹(こさつ)で、紅葉の名所として知られる三宝(さんぼう)寺(同市柏原町大新屋)で29日、創建550年を祝う記念法要が営まれた。秘仏である本尊・十一面観世音菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)も半世紀ぶりに御開帳。専門家の調査によって、平安時代中期の制作と判定されたばかりで、参列した檀家(だんか)ら約100人は、優美な姿に静かに手を合わせた。(堀井正純) 関連ニュース 三重塔、色づく秋に包まれて 丹波紅葉三山の高源寺 樹齢200年超 染まるオオモミジ 丹波篠山・国の重要文化財の大国寺 山あいの寺に独特の世界観 古刹に前衛的なふすま絵が登場 丹波


 三宝寺は室町時代の1472年の創建。本尊は像高109・2センチ、一木造りの黒漆塗りの仏像で、衣の裾先が短く、足首を見せる表現は白鳳・奈良時代の古い様式を残す。腕や後背、台座などは江戸時代に補修されたという。
 平安後期(12世紀前半ごろ)の作とされていたが、10月中旬に調査した藤岡穣・大阪大学教授(仏教彫刻史)らは、様式などから平安中期(11世紀前半ごろ)の制作と判定。藤原道長らが栄華を誇った時代という。
 「造仏から400年後に創建された寺になぜ、この本尊が残されているのかはよく分からない」と関係者。平安時代から地元にあった寺やお堂の仏像が、三宝寺へと移された可能性があるという。
 その後も、戦国時代の明智光秀の丹波攻め、江戸初期の失火などの苦難をかいくぐり、守り伝えられてきたと考えられる。
 御開帳は半世紀に1度という秘仏で、門脇知真住職は「50年ぶりの記念すべき良き日に立ち会えてうれしい。ありがたい仏さま。紅葉といっしょに参拝していただけたら」と話している。
 開帳法要に先立ち、地元の石匠・難波金兵衛さんから寄進された山号碑(高さ約2・6メートル)の除幕法要もあった。碑に刻まれた「本光山」の文字は、臨済宗妙心寺派の小倉宗俊管長が揮毫(きごう)した。
 一般向けの開帳は11月1~30日。入山料300円。三宝寺TEL0795・72・0954

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