「枝豆戦国時代」に東西王者がタッグ 丹波黒×山形・だだちゃ豆、自販機に冷凍セット ケンミン食品、数量限定で
2022/11/03 05:30
ケンミン食品が自社工場前の自販機で販売を始めた「プレミアム枝豆食べ比べセット」=丹波篠山市泉
東西の枝豆王者が最強タッグ!? ビーフン製造最大手のケンミン食品(神戸市中央区)は、兵庫県丹波篠山市の特産「丹波黒枝豆」と山形県鶴岡市で栽培される「だだちゃ豆」を冷凍した「プレミアム枝豆食べ比べセット」を発売した。数量限定のテスト販売で、同社篠山工場(丹波篠山市泉)前の冷凍ビーフン自動販売機でのみ購入できる。(堀井正純)
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丹波黒大豆も、だだちゃ豆も江戸時代から栽培され、長い歴史を誇るブランド農作物。しかし、丹波黒枝豆は東日本で、だだちゃ豆は西日本での知名度が低いという。枝豆の品種は現在約400種もあり、「枝豆戦国時代」ともいえる状況だが、今回のタッグで全国的な認知度アップも狙う。
丹波黒枝豆を味わえるのは10月の約1カ月だけで、「幻の黒枝豆」とも称される。大粒で、芋や栗のようなほくほくした食感、深い甘みやコクが売りだ。
ケンミンと丹波篠山市の黒豆卸の老舗「小田垣商店」は、秋のシーズン以外にも一年中、丹波黒枝豆を国内外で味わってもらおうと連携。冷凍商品を共同開発し、2018年から販売。厳選した最高級の黒枝豆を同社篠山工場でボイルし、冷凍加工している。
販売を始めた食べ比べセットには、この冷凍加工した黒枝豆にだだちゃ豆を加えた。提供するだだちゃ豆は、鶴岡市白山地区で江戸時代から14代続く豆農家渡部康貴さん(41)が育てた「神の枝豆」。門外不出の種で栽培。糖度17度とブドウ並みの甘みなどが特徴という。
関係者は「日本一といえる二つの枝豆。比べることで分かることがある」とPR。食べ比べセットは各200グラム入り、1500円。ケンミン食品TEL078・366・3035
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■「一粒一粒にたくさんの栄養」「手間暇かけて栽培」 東西生産農家らが意見交換
山形県鶴岡市白山地区産の「だだちゃ豆」を生産販売する渡部康貴さん(41)と、丹波篠山市で「丹波黒枝豆」を育てる古屋成人さん(52)らが鼎談(ていだん)した。黒豆卸の老舗「小田垣商店」(同市立町)で、同店生産仕入課の吉田知運課長(45)が加わり意見交換した。
渡部さんの家は140年間、だだちゃ豆の種を代々受け継ぎ栽培。あえて「たくさん実を着けさせず」「大きく育てず」、けれど根は大きく成長させ、「一粒一粒にたくさんの栄養を与える」のがこだわり。小ぶりながら、うまみが凝縮された豆が採れるという。
収穫は8月中旬~9月上旬。年間8~9トンを生産、うち約2トンを冷凍し、ネットなどで販売する。
一方、古屋さんや吉田課長は、丹波黒が「苦労豆」と呼ばれるほど、手間がかかることを説明。「うちは小規模農家で出荷量も少ない。丁寧な作業を心がけている」と古屋さん。土寄せや水はけを良くするための谷さらいなど、多くを手作業でこなしているという。
地球温暖化や人手不足など、農業を取り巻く課題は多い。「これからも100年続く家族営農のビジネスモデルをつくりたい」と渡部さん。吉田さんは近江商人が掲げた「買い手よし、売り手よし、世間よし」の「三方よし」の理念に、「環境よし」を加えた「四方よしを意識していきたい」と力を込めた。