備蓄用缶詰パンが返礼品に ふわっとしっとり、松陽高生が開発 高砂市のふるさと納税
2021/11/16 05:30
松の陽だまりパンをアピールする溝口涼太郎さん=松陽高校
兵庫県高砂市曽根町、松陽高校の生徒が災害備蓄用に開発したパンの缶詰「松の陽(ひ)だまりパン」が、市のふるさと納税の返礼品となり、東京など遠方からも寄付の申し込みが相次いでいる。食物繊維が豊富なブルーベリーを生地に練り込み、避難生活で便秘に悩むことが多い被災者をサポートしたい-という生徒の思いが、全国に広がりつつある。(笠原次郎)
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2018年7月、西日本豪雨の被災地・岡山県でボランティア活動に取り組んだ生徒が、「新鮮な野菜を食べたい」という被災者の切実な思いを知り、非常食作りを開始。19年4月以降は商業科の生徒が引き継ぎ、医師や栄養士から、ブルーベリーは腸内環境を整える上、疲労回復にも役立つと聞き、パンの生地に加えることにした。
パンは保存のため缶詰に入れたが、カビの発生が問題になった。そこで缶詰パンの製造ノウハウがあり、被災地にパンの缶詰も贈っている栃木県の企業「パン・アキモト」に依頼。缶詰に窒素を入れてカビの発生を抑える方法などを教わり、パンの量産も引き受けてもらった。
缶は直径7・5センチ、長さ11センチの円筒形。しっとりとした風味が長続きするのが特長で、大人1食分の1缶(432円)で337キロカロリー。3年間保存できる。
従来、催しなどで販売。今年8月には、生徒たちの思いが詰まり、確かな技術に支えられたパンを、市がふるさと納税の返礼品に加えた。防災ジュニアリーダーとして活動する3年溝口涼太郎さん(18)は「缶詰に入っているけど、ふわっとしっとりした食感。全国の方に知ってもらい、減災について考える機会が増えればうれしい」と話す。
返礼品は3~24缶で取り扱い、寄付額は6千~3万円。これまでに神奈川、宮城、静岡などから240缶以上の申し込みがあった。市シティプロモーション室TEL079・451・6796