築60年超の市役所、「体」を張った最後のお仕事 解体中の庁舎で消防訓練 防火扉の切断・破壊も

2021/12/20 19:00

エンジンカッターで防火扉を切断する救助隊員=高砂市役所旧本庁舎

 兵庫県高砂市役所新本庁舎(同市荒井町千鳥1)の完成に伴い、解体工事が進む隣接の旧本庁舎で、市消防本部が18、19日、はしご車を使った救助訓練や、エンジンカッターによる防火扉の破壊訓練などに取り組んだ。 関連ニュース 【写真】はしご車を使って行われた救助訓練 【写真】窓に「アリガトウ」高砂市役所の旧本庁舎、64年間の歴史に幕 半円形でガラス張り…高砂市新庁舎が完成 明るく開放的 1、2階に市民窓口集約

 築60年以上が経過した旧本庁舎は、11月下旬に新本庁舎への引っ越しが完了し、その役目を終えた。跡地を新本庁舎の駐車場にするため、現在は旧本庁舎の周囲に足場が組まれており、解体工事が続く。
 同本部は、旧本庁舎を使った破壊訓練も可能になったことから、2日間で計約50人を動員。火災救助訓練では、煙が充満して視界が悪くなった状況を再現するため、救助隊員が土のう袋をかぶった上で、建物内に取り残されたという想定の要救助者役を捜し出し、救急隊に引き継いだ。
 上空35メートルまで届くはしご車は、地上約20メートルの4階屋上と高さ約12メートルの3階に取り残された計4人の目の前まではしごを伸ばし、先端のかごに収容して助け出した。はしご車は価格が1億円以上と高価だが、1982年の導入以来、出動して放水したのは2回だけといい、貴重な実地訓練の機会となった。
 3階の防火扉前では、救助隊員がエンジンカッター2台で扉を切断。進入するため、ハンマーも使って穴をこじ開けた上で、手を入れて反対側の鍵を開け、扉を開いた。消防第1部の三谷哲也主幹(57)は「建物を実際に壊すことはめったにできないので、実践により近い形で訓練ができて良かった」と話した。(笠原次郎)

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