目標失った元高校球児、ボクシングに新たな夢 29日に若手登竜門のタイトル戦

2022/06/26 05:30

日本ユース王座決定戦に挑戦する湊義生選手=JM加古川拳

 兵庫県加古川市別府町朝日町のジム「JM加古川拳(けん)」に所属するプロボクサー湊義生(よしき)選手(23)=同市出身=が29日、東京・後楽園ホールで日本スーパーフライ級ユース王座決定戦に挑戦する。甲子園を目指す高校球児だったが、修学旅行でのけんかがもとで退学。その後、ボクシングに新たな夢を見いだした。24歳未満の若手の登竜門ともされるタイトル戦に向け、「必ず勝つ」と誓う。(増井哲夫) 関連ニュース 西宮の小6ボクサー、関西ブロック代表に 目指すは日本チャンプ、西日本選考会へ 昨夏39キロ級、今春は51キロ級…神戸の中学生ボクサー2階級V 指導者も驚き「半年ではありえない」 「運動苦手」から一躍新人王候補 過酷な練習で急成長のボクサー


 加古川市立平岡南中で野球部に所属し、投打で活躍。岡山県の私立高に特待生として入学し、甲子園を目指した。ところが、2年の修学旅行で同級生とけんかし、騒動になった。学校から「もう野球部には戻れないぞ」と言われ、退部。「野球ができないんなら、学校にいる意味がない」と退学した。
 中学の恩師から「野球を続けるなら社会人野球や独立リーグを紹介する」とも言われたが、「甲子園が全てだった」といい、野球への情熱も薄れていった。「目標を失い、何をしていいのか分からなくなった」
 そんな時、新たな挑戦の意欲を与えてくれたのがボクシングだった。アマチュアボクサーだった兄の影響もあり、1カ月悩んで決断。2015年に同ジムに入門し、翌年にはプロテストに合格した。フライ級でデビューして4連勝を飾り、18年12月には新人王決勝戦を3回TKOで勝利。技能賞にも輝いた。戦績は15戦10勝(5KO)5敗。
 憧れるのは元世界バンタム級王者の辰吉丈一郎さん。幼い頃、父に連れられて試合を見に行ったことがあり、どんな強い相手にも堂々と向かっていく姿に魅了された。自身も強い相手との試合をいとわないタイプ。試合相手が見つからない選手から「湊なら受けてくれる」とオファーが舞い込むという。20年9月には階級を上げて元バンタム級日本王者に挑み、TKO勝ちを収めた。
 今回対戦するのは、岡山県倉敷市のジムに所属する神崎靖浩選手(21)。西日本新人王を2度獲得し、10戦7勝(2KO)2敗1分という強敵だ。「どんな展開になってもノックアウトできなくても、とにかく勝ちたい。それぐらい欲しいタイトル」と勝利への執念を見せながら、仕上げの練習に励んでいる。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ