豪雨で通行止め、いつまで… 通学遠回り、観光地悲鳴

2018/08/06 12:38

土砂崩れで通行止めとなった表六甲ドライブウェイ=7月8日、神戸市灘区六甲山町(六甲砂防事務所提供)

 日常はいつになったら戻るのか-。西日本豪雨で特別警報が出てから27日で3週間を迎えるが、県内の道路は150カ所以上で通行止めが続く。影響を受ける住民や観光施設からは早期の復旧を求める声が上がる。 関連ニュース 西日本豪雨から5年 命日に誕生の孫、見せたかった 宍粟で父を亡くした小椋さん  絶滅危惧種「ナゴヤダルマガエル」の生態紹介 西日本豪雨で激減、岡山での研究成果展示 神戸・須磨海浜水族園 豪雨頻発、農林水産業に甚大被害 西日本豪雨の18年、5000億円超

 「県道が使えないと通学に時間がかかるし、体力的にも大変」。三田市母子(もうし)地区から篠山鳳鳴高校(篠山市)に通う3年の男子生徒(17)は声を落とす。
 同地区と篠山市を結ぶ県道は土砂崩れで約3キロにわたり通行を規制。これまでは自転車で約30分かけて通学していたが、現在はJR相野駅まで約15キロも自転車をこぎ電車に乗り継ぐため、1時間以上を要する。
 夏休みも補習で通学しているといい、母親(52)は「帰宅時間は午後2時ごろで、熱中症が心配」と話す。
 同地区の住民は買い物や通院で篠山市へ出ることが多いが、規制区間は10カ所以上の土砂崩れなどがあり、年内の解除は難しいとみられる。同地区から篠山市へ遠回りして通勤する女性(55)は「通行止めが長引くと本当に困る」と嘆く。
 宍粟市波賀町と養父市大屋町をつなぐ県道も通行止めが継続。波賀町道谷地区から宍粟市中心部へ向かう通勤路が断たれたため、住民は24日から朝夕各2時間に限り通行が認められた。
 同地区の60代男性は豪雨後の数日間、親戚宅から職場へ通った。男性は「不便さを実感し、災害に弱い地域と痛感した」と話す。
 一方、大量の土砂が道路に流出した淡路市江井の県道は、地元住民が抜け道を熟知しているため影響は少ないという。
 観光施設からも悲鳴が上がる。神戸市内では六甲山上へ至る道路が2カ所で通行止めが続く。山上で6施設を運営する六甲山観光(神戸市灘区)によると、豪雨後は六甲高山植物園や六甲山フィールド・アスレチックの来場者が昨年同時期より3~5割減となった。
 山上へは六甲ケーブルや裏六甲ドライブウェイが利用できるといい、同社営業推進部の明石達雄部長(47)は「山の上は市街地より気温が5度ほど低い。避暑に来てほしい」と話す。(山脇未菜美、古根川淳也、内田世紀、田中宏樹)

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