【連載】学校いま未来 第2部 先生が消えた日(2)カレー動画
2020/02/26 09:25
未明の雨は、朝になっても降り続いていた。
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2018年9月10日。神戸市内には大雨・洪水警報が発令され、公立小中学校は臨時休校になった。東須磨小学校もひっそりとしていた。
しかし、様子の違う一角があった。北校舎の4階にある家庭科室。この校舎の同じ階には、ほかに6年生の教室しかない。1階の職員室からも遠い。「奥の院」。そう呼ばれることもある。
そこに、7人の教員が集まった。加害教員A、B、Dと男性教諭(25)、20代の臨時講師ら3人。それぞれレトルトのカレーを持ち寄った。中には、「痛いほどの辛さ」を売り文句に、入手先がインターネット通販などに限られた商品もあった。
「僕、辛いの得意です」。男性教諭が言うと、周りはすかさず「得意ならこれ食べて」。
おどけたように尻込みする男性教諭を、体格のいいAが羽交い締めにした。女性教員のDがスプーンで口に運ぶ。
「ごめんなさい。辛いの好きじゃないんです」。一転して声を震わせる男性教諭。Aが両手を上げて叫んだ。
「勝った! もらいましたー」
カレーを押し込まれた男性教諭が室内で走りだす。その様子を、臨時講師がスマホで撮影する。
「後で見てもおもろいから撮っとけ」。Aに指示された。動画は無料通信アプリLINE(ライン)を通じて共有された。
◆
その6日前。9月4日にも、AとB、男性教諭ら4人が家庭科室に集まっていた。
この日も休校だった。記録的な高潮被害をもたらした台風21号が、神戸に接近していた。
「はい、口開けて」
激辛カレーの袋を持ったBが、閉じた唇にスプーンでルーを塗る。高笑いしたAが「目の下にも塗ってみる?」とつぶやくと、男性教諭は「やばい、やばいって」。招き寄せるB。はやし立てるA。目の下を縁取るように指でルーを塗られた男性教諭は、顔を大きくゆがめた。
1週間で2回休校となったこの年の9月。子どもたちがいないその2回とも、「激辛カレーの会」は開かれた。
このとき撮影された動画が1年後、騒動の着火点になる。(取材班)
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