本紙「教員間暴力を巡る一連の報道」が新聞協会賞に

2020/10/07 16:18

「教員間暴行・暴言」問題を伝える本紙第一報(2019年10月4日付朝刊から)

 日本新聞協会は7日、2020年度の新聞協会賞を発表し、神戸新聞社の「教員間暴力のスクープと神戸の教育を巡る一連の報道」(学校再生取材班 代表・編集局報道部 井上駿)などを選んだ。11月26日に神戸市で開かれる第73回新聞大会で授賞式がある。

 神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言は、19年10月4日付朝刊で初めて報じた。職員室など校内で、複数の教員が若手教員に暴力行為やいじめを繰り返していた。羽交い締めにして激辛カレーを食べさせる動画を独自入手。その映像は広く社会に衝撃を与えた。
 神戸市は条例を改正して加害教員の給与を差し止めた。いびつな人間関係を生むと指摘された独自の教員異動ルール「神戸方式」は廃止を前倒しした。
 問題の背景には、度重なる不祥事、学校現場と市教育委員会の関係性など、「神戸の教育」が抱えるさまざまな課題があった。さらに、教員の多忙化など普遍的なテーマを見据え、ニュースとともにシリーズ連載として展開した。
 新聞協会は一連の報道に対し、「閉鎖性が指摘される教育現場の不祥事をスクープし、現在の教育が抱える普遍的な問題につなげた優れた調査報道」などと評した。
 その他の受賞は次の通り。
 「戦没者遺骨の取り違え公表せず」の一連のスクープ 日本放送協会▽コロナ重症病棟 医師たちの闘い フジテレビジョン▽焼け落ちた沖縄の象徴 沖縄タイムス社▽「にほんでいきる」外国籍の子どもたちの学ぶ権利を問うキャンペーン報道 毎日新聞東京本社▽「ヒロシマの空白 被爆75年」「ヒロシマの空白 被爆75年 街並み再現」 中国新聞社
 神戸新聞社の編集関連の受賞は、阪神・淡路大震災10年キャンペーン「守れ いのちを」(05年度)、京都新聞社との合同震災企画「生きる」(1995年度)、「淡路における住民参加の共同社会開発」(65年度)がある。
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